2017 Fiscal Year Annual Research Report
Epidemiological and experimental analyses of arsenic exposure to epigenome of human embryos and child
Project/Area Number |
15K06912
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
三瀬 名丹 自治医科大学, 医学部, 講師 (00360644)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 無機ヒ素 / 胎児期曝露 / 胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒ素の慢性暴露は、肺がん、皮膚がんなど重篤な疾患の原因になることが知られているが、胎児期における非そば黒が胎児の発生に与える影響については明らかではない。本研究においては、胎児期慢性ヒ素暴露の影響を調べるために、ヒ素曝露量の異なる検体におけるメチル化解析を行い、ヒ素の胎児期曝露がエピゲノムに与える影響の詳細調査を明らかにする。さらに、ヒ素暴露によってエピゲノムに変化を生じる遺伝子の探索を行う。また、得られた結果から、ES細胞を用いた試験管内分化システムを用いて、ヒト初期胚では困難なヒストン修飾などのエピゲノム解析を行うことを目的として行った。 平成29年度においては、パキスタンにおけるヒ素摂取量の詳細解析を行った。これまでに、母親(胎児)に比べて、小児のほうが、体重あたりのヒ素摂取量が高いことが明らかとなった。パキスタンの検体においては、ヒ素暴露源は飲用水であり、これまでの報告と一致した。これまでに得られている「小児末梢血」「母末梢血」および「胎盤」由来のゲノムDNAを用い、パイロシークエンス法によるDNAメチル化解析を行った。解析対象は、ヒ素慢性暴露による肺がん組織でメチル化が上昇していることが明らかになっているHOXB5、HOXB9、POLD4遺伝子などに加え、がん抑制遺伝子p53、ゲノム全体のメチル化の指標となるLINE1等のゲノム領域を選択した。無機ヒ素高摂取群と低摂取群とに分けてメチル化を比較したところ、高摂取群において、上記各ゲノム領域においてDNAをメチル化が上昇していることがわかった。ヒ素は、その代謝過程において、SAMによりメチル化を受けるが、SAMの代謝が変化することによってエピゲノムに影響をあたえることを明らかにすることができた。DNAメチル化などのエピゲノムの変化は生涯を通じて健康に影響を与えていると考えられた。
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