2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of piRNA biogenesis in silkworm germ line BmN4 cells
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15K06948
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 知訓 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (10598436)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | piRNA / PIWIタンパク質 / Papi / Zucchini / ミトコンドリア / 生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
piRNAは、PIWIタンパク質と相互作用することでトランスポゾンを抑制し生殖ゲノムの保持に働く。カイコのpiRNAの3’末端形成は、エキソヌクレアーゼであるTrimが関与すること、piRNA中間体はミトコンドリア因子であるPapi上のPIWIに結合していることが示唆された(Izumi et al. 2016, Honda et al. 2013)。しかし、ショウジュウバエのpiRNA生合成経路で中核の役割を持つエンドヌクレアーゼZucchini (Zuc)がカイコのpiRNA生合成経路において重要であるかは不明であった。 Zucの欠失によりPapi複合体にpiRNA中間体が蓄積することを見出した。一方、Trimの欠失ではpiRNA中間体の蓄積はみられなかった。つまり、piRNA生合成において、TrimよりもZucの方が重要であることが示唆された。さらに、PapiはPIWIとの相互作用と自身のリン酸化によりRNA結合能を獲得することでpiRNA中間体と結合する。これは、階層的に複合体形成が行われてpiRNAが生成されることを示唆する。Papi複合体に含まれるpiRNA中間体の3’と5’末端は、PIWIのスライサー活性により形成されている。Zucの欠失は、このpiRNA中間体の3’と5’末端形成にほぼ影響を与えない。つまり、成熟型piRNAの5’末端はPIWIのスライサー活性により形成され、一方で3’末端はZucのエンヌクレアーゼ活性により形成される。カイコのpiRNA生合成経路は、ショウジョウバエでみられるPhased piRNAによるサイレンシング機構が無いことからショウジョウバエよりも単純な経路であることを明らかにした。これらの結果をまとめて、論文としてNatureに掲載された(Nishida et al. 2018)。
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