2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of NMR data analysis methods for proten three-dimensional structure
Project/Area Number |
15K06979
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
池谷 鉄兵 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (30457840)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | NMR / タンパク質立体構造決定 / ベイズ推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベイズ推定を用いた新規立体構造計算法の開発では,本手法を用いて,生きた昆虫培養細(sf9)中でのタンパク質立体構造決定に応用した.モデル試料として,GB1, TTHA1718, ユビキチン,Ras, カルモジュリンの5つのタンパク質の構造解析を試みた.5つのタンパク質のうち,GB1, TTHA1718, ユビキチンについては,高精度の構造決定に成功した.真核細胞中でのde novoタンパク質立体構造決定は,本研究が世界初の例であり,本手法の有効性を示すことができた.GB1については,タンパク質側鎖原子も含め正確な構造決定が達成できた.解析の結果,GB1のαヘリックス領域の相対配置が,希薄溶液下と細胞内とで異なっていることが示唆された.また,Rasとカルモジュリンについては,高精度の立体構造決定には至らなかったものの,高感度の3D NOESYスペクトルの計測には成功しており,複数の原子間距離情報の取得には成功した.またNMRスペクトルパターンから,Rasはsf9細胞中でGDP結合型として存在しており,カルモジュリンは,Mg2+型として存在していることを明らかにした.本成果は,学術専門誌に現在投稿中であり,次年度中の成果発表を目指している. また,従来の希釈溶液中でのタンパク質立体構造決定の例として,YUH1タンパク質の全体構造決定にも成功した.YUH1は,ubiquitin carboxyl-terminal hydrolase の1つであり,ユビキチン切断の分子機構を,立体構造の観点から明らかにすることを目標としている.現在,活性部位付近の構造が運動性が大きく,この領域のみ構造の精度が低いため,RDC, PCS, PREといった遠距離の構造情報の得られるNMRデータを計測・解析中である.これらを用いて,次年度は,一層の構造の精度を向上させ,学術誌に発表する.
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