2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07129
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
安部 眞一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (90109637)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マウス精巣 / 再凝集培養 / 再構築 / KSR / Alk5 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の精巣は、チューブ状の精細管とその外側の間組織から成る。我々は生後マウス精巣を解離・再凝集させ、コラーゲン内3次元培養系に、KSR (KnockOut Serum Replacement)を添加することにより、ほぼ完全な精巣再構築に成功したので、このユニークな培養系を用いて、KSRによる精細管の形成機構について解析することを目的とする。 1)Live imagingによる再凝集培養の観察 再構築中の過程を細胞が生きたまま観察するために、セルトリ細胞のみにGFPを発現するSox9-EGFPトランスジェニックマウス由来の精巣再凝集体を培養し、CV-1000を用いて観察した。その結果、KSRがある場合、凝集塊中の最初の直径30~50umのセルトリ細胞凝集体が1週間後には300~400umと拡大した。興味深いことに、小さな凝集塊はお互いに近づき合体してサイズが拡大した。また、TGFβ系の受容体の1種であるAlk5の阻害剤(Alk5i)を加えると、最終的なセルトリ細胞凝集体のサイズも小さくなるとともに、小さな凝集塊の動きや合体も不活発であった。Desert hedgehogの阻害剤であるcyclopamineを加えてもほとんど影響は見られなかった。このように、KSRはAlk5を介してセルトリ細胞の運動や形態形成を促進することが示唆された。 2)RNA sequencingによる解析 理研CDBとの共同研究により、再凝集培養3日目や5日目のRNA sampleの解析を行った。その結果、細胞接着関連遺伝子や増殖因子関連遺伝子等について±KSRで差が見られる遺伝子がいくつか検出された。そのうち興味深いいくつかの遺伝子についてRT-PCRを行い、±KSRで差があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Live imagingによる再凝集培養の観察とRNA sequencingによる解析がおおむね計画通り進行しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
1.個々のセルトリ細胞の動きの観察:再凝集培養における個々のセルトリ細胞の動きを観察する。その際、KSRの有無やAlk5i,cyclopamine等の影響についても調べる。 2.精巣再凝集培養におけるセルトリ細胞以外の細胞の役割:精巣再凝集培養における精細管様構造形成に対する間質の細胞の役割を調べるため、間質の細胞を除いてセルトリ細胞と生殖細胞だけの再凝集培養を行い、精細管様構造が形成されるかどうかを調べる。 3.KSRによって発現が上昇、下降する遺伝子についての解析:RNAsequence解析によって±KSRで差が確認された遺伝子のいくつかについて、免疫染色によってその産物(タンパク質)の発現を確認する。また、recombinantタンパク質や阻害剤等を加えて再凝集培養における精細管様構造形成に対する効果を調べる。
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Causes of Carryover |
新しい大学に移籍したてで一緒に研究する大学院生等がいないため研究補助員を雇うつもりでいたが、ふさわしい人が見つからなかったため、研究費を翌年に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ふさわしい人が見つかれば、研究補助員として雇用したいと考えている。
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