2015 Fiscal Year Research-status Report
ヤマノイモえそモザイクウイルス感染性クローンによるえそ病徴発現遺伝子の解明
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15K07317
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Research Institution | Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center |
Principal Investigator |
近藤 亨 地方独立行政法人青森県産業技術センター, その他部局等, 研究員 (70543908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 輝男 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (30142699)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヤマノイモえそモザイクウイルス / 感染性クローン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤマノイモえそモザイクウイルス(Chinese yam necrotic mosaic virus: CYNMV)は、我が国のナガイモに発生し大きな減収を引き起こすため、ナガイモ生産において最も重要なウイルスである。本研究では、CYNMVの感染性クローンを用い、病徴発現に係わるウイルス遺伝子を解明することを目指している。CYNMV感染性クローンのナガイモに対する感染効率はかなり低いため、平成27年度はまず、感染効率向上を狙いパーティクルガン接種時の種々の条件を再検討することから始めた。材料とするナガイモ苗の接種前育成温度および接種後育成温度、接種前後の暗黒処理、接種直後の酸化防止剤処理、パーティクルガンのガス圧およびサンプル距離等について検討を行ったところ、期待した感染効率の向上が認められず、逆に全く感染が成立しない状況が続いた。当初は接種条件が原因で感染しないものと考えていたが、条件を戻しても感染が認められなかったため、意図せぬクローンの変異を疑い、接種に用いていたクローンの塩基配列を解読した。その結果、クローン中のCYNMVのORF内に、大腸菌由来の短いDNA断片が挿入されていたことによりウイルスの感染性が失われていたことが明らかとなった。そこで、以前凍結保存したDNAサンプルから再度大腸菌の形質転換を行い、抽出したクローンの塩基配列を再確認したうえでナガイモにパーティクルガン接種を行ったところ、感染性の回復が確認できた。一方、同時に進めていた感染性クローンへのGFP遺伝子の挿入は、予定通りクローンが構築され塩基配列の確認も終えており、現在ナガイモへの接種試験を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
試験に用いているクローンの感染性が失われるという不測の事態が発生し、その原因究明と感染性の回復に時間を取られ、予定していたキメラウイルスクローン作出等の試験に時間を割けなかったため、遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに構築されたGFP遺伝子挿入クローンの感染性確認を急ぐとともに、キメラウイルスクローン等による病徴変異株の選抜を重点的に、予定よりもエフォートを割いて試験を進めたい。
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Causes of Carryover |
残額が少額であり、遺伝子解析用試薬等を購入するには不足するので、次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた大規模塩基配列解析は、感染性クローンの病徴変異株が未だ得られていないことから平成28年度の実施は見送ることとした。次年度は、顕微鏡接眼レンズ、核酸抽出・精製試薬、塩基配列解析試薬等を購入する予定である。
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