2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07388
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
保川 清 京都大学, 農学研究科, 教授 (30397559)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒島 憲二 京都大学, 農学研究科, 助教 (40542759)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | RNase H / MMLV RT / 逆転写酵素 / ゲノムプロフィリング法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、兒島助教が米国NIHのDr. Robert Crouchの研究室で学んだ技術をもとに、ヒトRNase H2の酵素化学的解析に取り組んだ。ヒトRNase H2の酵素活性はナトリウム、カリウム、ルビジウムでは活性化され、リチウム、セシウムでは阻害されことから、カチオンの種類によりヒトRNase H2の酵素活性に対する影響が異なることが明らかとなった。また、熱失活の一次速度定数は、NaCl、KCl濃度が60 mMのとき、塩非存在下のときの半分にまで減少したことから、塩の添加によって熱失活が抑制され、安定性が高まることが示された。ヒトRNase H2の酵素活性のpHプロフィールは、活性解離基が酸性側で2つ、塩基性側で1つとしたとき、理論式によく一致した。酸性側、塩基性側の活性解離基のプロトン解離定数pKe (pKe1、pKe2)はそれぞれ7.3-7.6、8.1-8.8となり、脱プロトン化におけるエンタルピー変化は、pKe1で5 kJ/mol、pKe2で68 kJ/molとなった。 熱力学的解析により活性解離基は、酸性側がAspまたはGlu、塩基性側がLysと推定された。こられのことから、ヒトRNase H2の活性解離基は、酸性側がDEDDモチーフとして保存されているAsp34、Glu35、Asp141のいずれか2つ、塩基性側がDSKモチーフとして保存されているLys69である可能性が考えられた。平成28年度はさらに、ゲノムプロフィリング「ゲノムプロフィリング法による変異原アッセイ(Genome profiling-based mutation assay (GPMA)法」(被験物質存在下で大腸菌を培養し、大腸菌の染色体DNAに入った変異の数を、PCRで増幅させたDNAの融解温度の変化に伴う「温度勾配ゲル電気泳動」のパターンの変化で定量する方法)を、動物細胞に適用させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の当初計画は「1.WT(全領域を含む全長酵素)の生産」、「2.WT単独およびT/Pとの複合体の結晶構造解析」「3.WTと変異体(いずれも全領域を含む全長酵素)の生産と活性測定」であった。このうち、1と3については十分達成され、学会発表および論文発表を行った。一方、2については結晶が作製されなかった。現在、精製条件や結晶作製条件をいろいろと変えて取り組んでいる。 平成28年度は計画外の課題としてGPMA法の動物細胞への適用に取組んだ。これについては十分達成され、論文投稿の準備が整った。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)平成28年度未達課題である「RNase H領域単独および鋳型プライマー(T/P)との複合体の結晶構造解析」に引き続き集中して取り組む。 2)リボヌクレアーゼH(RNase H)は、RNA/DNAハイブリッドのRNA鎖を切断する酵素であり、ゲノムDNAの完全性維持に寄与する。本酵素は、基質特異性に基づきI型とII型に分類される。II型のRNase H(RNase H2)は、RNA/DNAハイブリッドと二本鎖DNAに埋め込まれた1個のリボヌクレオチドを切断する活性を有する。兒島助教が留学したNIHのグループは、前者の基質を分解する活性を保持したまま、後者の基質を切断する活性を消失させる変異が見出した。今年度は、反対の基質特異性を付与する変異を見出すことを目標とし、ヒトRNase H2のPhe195からIle243の領域に対して全アミノ酸スキャニング変異を導入し、大腸菌で菌体内発現させ、前者の基質を分解する活性が消失し、後者の基質を切断する活性を保持した変異体の取得を試みる。
|
Research Products
(8 results)
-
-
[Journal Article] Effects of neutral salts and pH on the activity and stability of human RNase H22017
Author(s)
Baba, M., Kojima, K., Nakase, R., Imai, S., Yamasaki, T., Takita, T., Crouch, R.J., Yasukawa, K.
-
Journal Title
The Journal of Biochemistry
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-
-
[Presentation] Effects of neutral salts and pH on catalytic activity of human RNase H22016
Author(s)
Baba, M., Kojima, K., Nakase, R., Imai, S., Yamasaki, T., Crouch, R.J., Takita, T.,Yasukawa, K.
Organizer
JSBBA Student Forum
Place of Presentation
神戸大学
Year and Date
2016-11-05 – 2016-11-05
-
-
[Presentation] Effects of neutral salts on catalytic activity and stability of human RNase H22016
Author(s)
Kojima, K., Baba, M., Kojima, K., Nakase, R., Imai, S., Yamasaki, Crouch, R.J., T., Takita, T., Yasukawa, K.
Organizer
RNaseH2016
Place of Presentation
京都大学楽友会館
Year and Date
2016-09-06 – 2016-09-09
Int'l Joint Research
-
-