2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07464
|
Research Institution | Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center |
Principal Investigator |
内沢 秀光 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 弘前地域研究所, 室長 (10505572)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 謙一 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 八戸地域研究所, 所長 (90250232)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | シジミ / 冷凍 / アコルビン / オルニチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シジミの低温応答メカニズムを応用した新たな冷凍技術の開発を目的として研究を行った。研究代表者らが発見したシジミ由来オルニチン含有トリペプチド(アコルビン, β-Ala-Orn-Orn)は、シジミの保存温度により含有量が増減し、冷凍すると分解してβ-アラニンとオルニチンが生成し、室温に戻すとオルニチンとβ-アラニンからアコルビンが合成された。このことが本研究で注目したシジミの低温応答の一つである。そこで、シジミの低温応答メカニズムの解明を進めるに当たり、まずアコルビン合成酵素について、クローニングのための研究を行った。 アコルビン合成酵素は新規酵素であることから遺伝子配列に関する情報は無い。そこで、β-アラニンを基質とし、ATP及びマグネシウムイオン要求酵素である点が共通するなど機能的に関連するすると考えられるカルノシン合成酵素に着目し、NCBIのBLAST検索を行った。報告されているカルノシン合成遺伝子の中から、酵素特性が解析されているものを選び、オイスターの類似配列も含めてアミノ酸の類似領域を選定し、複数のプライマーを設計した。シジミ可食部組織より抽出した全DNAを鋳型に、プライマーの組合せやアニーリング温度、サイクル数などの増幅条件を検討した。その結果、特定の条件において目的とするサイズのDNA断片の増幅に成功した。現在クローニングを進めている。 シジミの冷凍処理により、オルニチン以外の成分に変化が見られるかどうか、特にシジミエキスに含まれる主要な有機酸成分であるコハク酸に着目し、冷凍処理前後で得られたエキスの分析を行った。その結果、コハク酸においては顕著な変化は認められず、冷凍処理による変化はオルニチンに特徴的であることが改めて示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに知られていいないペプチドの合成酵素に関する研究であり、難易度が高いことが想定されたが、クローニングするに当たって、機能的に関連するカルノシン合成酵素に着目して遺伝子情報を解析しプライマー設計を行い、プライマーの組合せやアニーリング温度などの増幅条件を検討した結果、PCR増幅で多数のバンドが検出され、次のステップに進むことができたことから、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
PCR増幅で検出された多数のカルノシン合成酵素遺伝子候補断片をローニングして塩基配列を決定し、既知のカルノシン合成酵素遺伝子と遺伝子配列を比較する。シジミからアコルビン合成酵素の精製を試み、アミノ酸配列(部分)を決め、遺伝子のクローニングを進める。 また、シジミの冷凍における状態変化を観察し、アコルビンが存在することによる特徴がみられるかどうかを調べる。
|
Causes of Carryover |
研究を効率的に進め、概ね当初の計画どおり研究を進めることができたことから、残額は次年度の研究内容をより充実させるために使用することとした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
シジミの冷凍における状態変化の観察に関する研究において、他の貝類との比較や液体窒素の購入等に使用する計画である。
|