2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K07469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
龍原 哲 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40227103)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 森林管理 / 森林評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
採材方針の違いと森林の管理状態の違いを考慮に入れて、スギ人工林経営における収益を伐期齢ごとに示した。対象地は新潟県村上市旧山北町の民有林とした。山北地区および県境を挟んで隣接する山形県鶴岡市旧温海町で生産されたスギ素材の主要な購入先に対して、購入している素材の種類、その購入価格と用途について聞き取り調査を行った。採材方針を①3m材と4m材だけでなく,5m材,6m材も含めてできるだけ単価の高い材を生産するように丁寧な採材を行う、②採材する丸太の材長を3mと4mに絞ることで、大量の材を安定供給できるような単純な採材を行う、の2通り設定するとともに、枝打ち回数を反映した森林の管理状態を4通り設定し、計8通りについて金員粗収穫を最大化する採材シミュレーションを行った。さらに地利級別に費用計算を行うことで森林純収益を算出した。その結果、安価な丸太の安定供給を望む需要先のみに販売する採材方針は、森林の管理状態による収益の差が小さく、リスク管理がしやすいという利点を持つ一方、それに加えて単価の高い高齢級大径材を購入する需要先にも販売する採材方針では、地位級と管理状態の条件の良い林分において収益性が有利となることがわかった。このように採材方針や地位級によって枝打ちの効用は大きく異なった。したがって、適切な採材方針を選択し、かつ枝打ち回数を調整することによって将来の森林を望ましい管理状態に誘導するため、林業事業体は需要を正確に把握する必要があるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要なスギ丸太の購入先に対して材長別、末口径級別、材質別取引価格を調査し、スギ人工林の経営分析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
同齢単純林だけでなく、強度間伐後に樹下植栽した人工二段林、広葉樹が侵入して針広混交化した林分の測定も行う。
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Causes of Carryover |
森林の現地調査を行うための旅費が当初の計画より少ない金額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
森林の現地調査を行うための旅費、平成28年度に印刷される論文の別刷り代金として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)