2015 Fiscal Year Research-status Report
外来魚の寄生虫相の網羅的解析と外来寄生虫の定着メカニズムの解明
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15K07527
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長澤 和也 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (40416029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 幸一郎 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (30195028)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 外来魚 / 寄生虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
国外外来魚として,沖縄県産ジルティラピア(アフリカ原産),長野県産コクチバス(北米原産),群馬県産ブルーギル(北米原産)を寄生虫検査に供し,3魚種からカイアシ類のヤマトニセエラジラミNeoergasilus japonicus,またブルーギルから同じくカイアシ類のイカリムシLernaea cyprinaceaを採集した。わが国のコクチバスにヤマトニセエラジラミの寄生が確認されたのは,今回が初めてである。採集されたカイアシ類2種は,ともに宿主特異性が低くて宿主範囲が広いため,外国から持ち込まれたものではなく,わが国の在来魚種に寄生していたものが国外外来魚に寄生したと考えられた。 沖縄県産ヤマトニセエラジラミの形態,特に本種を同定する際に重要な第1胸節と第4胸節を詳しく観察したところ,原記載地の台湾から採集された標本とはほぼ一致したが,中国産標本とは第1胸脚と第4胸脚の刺毛数で差が見られた。欧米産標本との差はごく僅かであった。また,群馬県産イカリムシは,頭胸部にある背部突起の先端はY字形に二叉し,頸部は円筒形,それに続く胴部は後端に向かって膨らんで長袋状を呈した。これらの特徴は,過去に報告された本種の形態的特徴と一致した。 上記の寄生性カイアシ類に加えて,沖縄県産コイから単生類のコイユビガタムシDactylogyrus extensusを採集し,その形態を記載した。この寄生虫は,コイとともに他所から沖縄県に持ち込まれたと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
寄生性カイアシ類の在来2種(ヤマトニセエラジラミとイカリムシ)が,国外外来魚を宿主として利用することが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
寄生虫検査に供する外来魚の種数と個体数を増やして,それら魚類の寄生虫相を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究代表者が副研究科長職を拝命していたため,その業務に追われ,当初計画した遠方かつ長期の野外調査(出張)を実施できなかったことが大きな理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
沖縄県や北海道を含む,遠方かつ長期の野外調査を行って,多くの外来魚を採集する計画である。
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Research Products
(5 results)