2015 Fiscal Year Research-status Report
小売・外食企業による生鮮食品調達・加工システムの新展開に関する実証的研究
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15K07596
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂爪 浩史 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80258665)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | チェーンスーパー / 外食チェーン / 青果物調達 / 地区仕入れ / エリアバイヤー / 納入業者 / 卸売市場 / 農協 |
Outline of Annual Research Achievements |
中四国地域ならびに九州地域を対象として、チェーンスーパーによる青果物調達方式に関する現状分析を行い、チェーンスーパー各社が店舗の広域展開を行い、スケールメリットの発揮による効率的な調達を全国の産地や輸入品について実現しつつ、消費者の地場産品指向に対応するため、エリアバイヤーを多数各地区に配置し、地場産品の調達を円滑に行っていることを明らかにした。こうした地区仕入れはまた、卸売市場からの大量一括仕入れにともなう価格の高騰を回避するために行われいていることをも解明した。さらに、各地区内の卸売市場からの仕入れ比率は、本部所在地区において低くなる傾向にあり、その理由として、本部所在地区には配送センターも併設されていて、産地や遠隔地の卸売市場などから仕入れた青果物を効率的に店舗に配送することが可能なこと、消費者の指向などへの理解が進んでいることから卸売市場に頼らない調達が可能なことなどがあることを解明した。 韓国外食企業の青果物調達に関する実態調査を実施した。外食企業の提供する料理は、メニューに掲載される料理と、韓国ではバンチャンと呼ばれるキムチなど前菜から構成されている。このうちメニュー料理のための青果物の調達はチェーン本部が担当しており、卸売市場、農協・営農組合法人などとならんで納入業者から調達が行われ、その比率は納入業者からの調達が圧倒的であること、バンチャンについては各加盟店がそれぞれ独自に卸売市場から調達していることが明らかとなった。さらに、チェーン本部が利用する納入業者の分析を進め、納入業者が分散零細的な産地・生産者と外食企業との間にあって、物量確保、品揃えの充実などの流通諸機能を発揮することによって、外食企業は効率的な調達を行うことが可能となっていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、27年度に予定していた、小売・外食企業による青果物調達・加工対応のマクロ的な把握は出来なかったが、韓国を含むケーススタディを先行させ、多くの知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は既存研究、調査報告書などの探索を含め、マクロ的な状況を押さえつつ、より全体を俯瞰できるような分析を進めたい。 また、研究が遅れているチェーンスーパー等によるプライベートブランド商品の原料調達、加工システムについても分析を進めたい。
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Causes of Carryover |
アメリカ調査の日程が十分に確保出来なかったことと、経費が残額では不足していたため、次年度に実施することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
5月から8月にかけて行うアメリカでの調査研究に、H27,H28両年度の研究費を充てて実施したい。
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