2016 Fiscal Year Research-status Report
国産レモンのバリューチェーン構築によるカンキツ産地の維持と需要拡大戦略
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15K07610
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
細野 賢治 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (90271428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮井 浩志 四国大学, 地域教育・連携センター, 准教授 (10620908)
岸上 光克 和歌山大学, 地域活性化総合センター, 准教授 (20708002)
矢野 泉 広島修道大学, 商学部, 教授 (90289265)
辻 和良 和歌山大学, 食農総合研究所, 特任教授 (00573784)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国産レモン / バリューチェーン / 生産振興 / 流通対応 / 6次産業化 / 販売促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年拡大傾向にある国産レモンの生産・販売の実態を把握し、縮小再編下にある国内カンキツ産地において、レモン生産が持つ可能性や産地維持への効果などを検証し、併せて国産レモンのバリューチェーンのあり方を検討することを目的としている。平成28年度は、広島県および和歌山県のレモン生産・加工・販売を担う組織・団体、国内最大レモン産地の一つである大長レモンの生産農家に対するヒアリング調査を行った。 第1は、広島果実農業協同組合連合会に対し、近年のレモン国内流通環境の変化と生産・販売対応に関する調査を行った。世界的なレモンの大産地であるテキサス・フロリダ州やブラジルなどでカンキツ・グリーニング病が大発生し、生産量が減少した。そのため、輸入レモン価格が相対的に上昇傾向にあるなかで、国産レモンの価格競争力も徐々に高まっていることを確認した。 第2は、広島市中央卸売市場に入場する青果卸売業者に対し、近年における国産レモンの取引状況と小売企業のニーズを調査した。消費者の国産レモンに対する安全・安心の意識が高く、「レモンの皮を使った」調理などへの国産レモンの使用比率が高まっている。そして、輸入レモンと差別化するために、卸売業者が2~3個入りパッキングを行って小売業者に提供している状況を把握した。 第3は、国内供給量の3割ほどを生産する広島ゆたか農業協同組合に対し、国産レモンの生産販売対応について調査を行った。平成27年度のレモン販売金額は3.2億円であり、85歳のカンキツ農家が年間販売金額400万円以上であった事例から、レモン生産は高齢化するカンキツ産地において高齢農家の主力品目になりえることを確認した。また、当農協では、10月~翌年3月に収穫した果実を販売しつつ、Pプラスや安曇野農協とのタイアップによる冷蔵保管などで4月~9月までの出荷も確保し、ついに周年販売を実現したことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は、レモン生産を担う農協、営農指導・販売事業を担う連合会、および広島レモンを取り扱う広島県内の卸売業者、そして、和歌山県のレモン産地に関係者にヒアリング調査を行うことができた。 しかしながら、当該年度に実施予定の農家調査が準備不足のため実現していない。また、平成28年度に実施した和歌山県のレモン産地では、まだ試行の段階であるとして、分析を行うに十分な情報を得ることができなかった。そして、レモン関連の食品加工業者については、尾道市瀬戸田町に所在するレモンケーキ製造業者にのみヒアリング調査ができており、その他については調査設定時期に問題があったため、先方の都合と合わず実現していない。 これらは、今年度の早い時期に打ち合わせを行って早期のスケジューリングを行うことで実現につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の7月に開催される日本農業市場学会2017年度大会において、本研究の一部を報告する予定である。 また、8月~9月にかけて、広島県の2大産地(大長・瀬戸田)において農家調査を行う予定である。また、国産レモンの大消費地である京浜市場における市場調査と食品加工業に対する調査も行う予定である。 これらの調査をまとめて、随時、学会などで報告し、研究成果の公表につなげたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた農家調査が未実施のため、調査にかかる旅費と人件費を執行することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査補助を頼む予定であった大学院生(博士課程前期)が研究職を得たため、平成29年度から研究分担者として位置付け、これまで未実施であった農家調査を行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 野菜・果物の流通事情2017
Author(s)
岸上光克
Organizer
食と暮らしの研究会公開シンポジウム
Place of Presentation
和歌山大学松下会館
Year and Date
2017-01-21 – 2017-01-21
Invited
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