2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K07651
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
神宮字 寛 宮城大学, 食産業学部, 教授 (10299779)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒトスジシマカ / オビトラップ / アキアカネ / デング熱媒介蚊 / 生物的防除 / 捕食 / 防除効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,トンボ科アカネ属アキアカネ幼虫を用いたヒトスジシマカの防除手法の有効性について検討した.アキアカネ幼虫を用いた防除手法により,長期間にわたりヒトスジシマカ幼虫等の発生を抑制できることが明らかとなった. 調査対象地は,宮城県仙台市に位置する宮城大学内(仙台市太白区)および都市公園(宮城野区)である.大学キャンパス内には産卵板を入れたオビトラップを以下の条件で設置した.①アキアカネ9齢幼虫投入,②ノシメトンボ9齢幼虫投入,③脱皮阻害剤溶液,④コントロールの4条件×3反復とした.都市公園内では,①アキアカネ4齢幼虫投入、②コントロールの2条件×3反復とした。各調査地では5か所を設定し、オビトラップを配置した。実験は6月から開始し、1週間ごとに産卵板に産み付けられた卵数,オビトラップ内で発生したボウフラ数および蛹の数を数えた. オビトラップ内に産卵した蚊は,大学内では個体数の多い順にヤマトヤブカ,ヒトスジシマカ,キンパラナガハシカの3種であった.都市公園内では,ヒトスジシマカ,ヤマダシマカ,ヤマトヤブカの3種であった。 ヤゴを投入したオビトラップでは,ヤゴの生存期間中はボウフラの発生が認められなかった.アキアカネ幼虫の生存日数は,大学内では41日±13(N=15),都市公園内では103日±13(N=15)を示した。アキアカネ幼虫が斃死するまでにトラップ内に産み付けられた蚊の卵数は,大学内で556個、都市公園内で246個となった。ヒトスジシマカを含む蚊の卵から孵化したボウフラは、ヤゴに捕食されたと考えられる。また、ヤゴの齢数が小さいほど防除の効果が長いと考えられる。ノシメトンボの生存日数は35日±13(N=15)、産み付けられた卵数は456個となった。ノシメトンボはアカネ属の中でも最大の幼虫である.捕食能力はアキアカネに比べて高いが、防除効果は劣るという結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールドでの実験は順調に進行している。室内で実施する捕食実験が少し遅れているが、次年度に目標まで到達する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、仙台市内の都市公園2か所を対象とする。オビトラップを設置した公園と対照区としてオビトラップを設置しない公園を実験地とする。卵とヤゴを放流する条件を用意し、ボウフラの抑制効果と成虫個体数の定期的な調査を実施する。効果検証のための成虫調査は、新たに人囮法を採用する。 利用する捕食者は、前年に採集したアキアカネ卵を孵化させた幼虫であるが、学校プールの調査を実施し、プールに生息するヤゴが捕食者として利用できるか検討する。プールの選定は、都市部と山間部の小学校とし、プール清掃の前の5月下旬に最中調査を実施し、捕食者としての利用可能性を判断する。
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Causes of Carryover |
室内で実施する捕食実験に使用する消耗品を執行しなかったため。また、国際会議での発表を予定していたが、発表できず旅費の執行ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り実験を行い適切な予算執行に努める。また、国際会議等での発表を予定している。
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