2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K07651
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
神宮字 寛 宮城大学, 食産業学群(部), 教授 (10299779)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | デング熱 / ヒトスジシマカ / オビトラップ / アキアカネ / 生物学的防除 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年8月、日本では約70年ぶりにデング熱感染者が確認され、その数は167名に上った。2016年にはジカウイルス感染症の罹患者が国内で確認されている。何れもヒトスジシマカが媒介する感染症である。今後、地球温暖化とグローバル化が進行する中、国内の熱帯性感染症の脅威は、さらに拡大すると予想される。この脅威に対抗するには、平時からヒトスジシマカの個体数を抑制する必要がある。平成29年度は、アキアカネ幼虫とオビトラップを利用した防除手法の検証を行った。 仙台市の榴岡公園内にアキアカネ幼虫を放流したオビトラップを設置した。オビトラップは直径7.5㎝×高さ10㎝のプラスチック容器の内部に黒画用紙を巻き、450㏄のエアレーションした飼育水と産卵板を挿入したものである。このオビトラップ1個に対してアキアカネ幼虫4齢を1個体放流した。このアキアカネの入ったオビトラップを5m×5mに区分したオビトラップ設置区である11セルに配置した。また、オビトラップのない対照区(11セル)も同時に設けた。オビトラップ設置区では、1セルにオビトラップ2個を設置した。設置期間をⅠ期:5月23日~7月18日、Ⅱ期:7月19日~8月22日とした。Ⅰ期とⅡ期でオビトラップ設置区と対照区を入れ替えた。蚊の捕集は8分間の人囮法を採用した。 アキアカネ幼虫をオビトラップに放流した生物的防除効果の試験結果から、ヒトスジシマカの平均捕集数は設置区で4.0個体、対照区で8.2個体となり、捕集数におよそ2倍の差が生じた。これは、アキアカネ幼虫がオビトラップ内のボウフラを捕食することにより成虫数を抑制していることを示している。また、防除の持続効果日数は平均43日間を示した。オビトラップによる蚊の駆除では、アキアカネ幼虫の生存日数を安定させることが重要である。今回の実験では安定した生存日数が得られない場所が存在した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都市公園を対象としたヒトスジシマカの防除方法について、おおむね予定通りに進行している。仙台市内の都市公園を対象としたアキアカネ幼虫とオビトラップを用いた防除方法では、一定の成果が得られた。平成30年度は、東京都内の都市公園を対象として、ヒトスジシマカ防除の実証試験を予定している。 昨年の予備的試験では、東京都内に設置したオビトラップへの人的被害が生じた。この被害を抑える工夫が必要である。現在、この問題に対する解決策は検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、東京都内のヒトスジシマカ防除の実証試験を予定している。東京都内の都市公園の候補地は2か所が決定しており、オビトラップ設置の許可を得ている。2か所の公園では、アキアカネ幼虫を放流したオビトラップを用いたヒトスジシマカ防除手法の実証試験を行う。週1回程度のモニタリング期間を設けて、オビトラップ内のボウフラ発生状況、産卵板へのヒトスジシマカの産卵数を確認する予定である。
|
Causes of Carryover |
ヒトスジシマカ防除に用いるアキアカネ幼虫の飼育環境が整備され、消耗品の購入が抑えられたことにより支出が減少した。学会発表、論文投稿を予定していたが達成できず、これに関する経費の支出が減った。
|
Research Products
(2 results)