2015 Fiscal Year Research-status Report
人の食肉由来回虫症の感染源対策:南九州における牛と鶏の疫学的役割と制御法の探索
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15K07723
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
野中 成晃 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50281853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 治彦 宮崎大学, 医学部, 教授 (90229625)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 動物由来回虫 / 犬回虫 / 猫回虫 / 豚回虫 / 鶏 / 牛 / 食品由来感染症 / 人獣共通感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
鶏を用いて犬、猫、豚、鶏回虫の感染実験を行い、豚回虫成虫虫体抽出抗原(AsSWAP)、犬回虫と豚回虫の幼虫排出分泌抗原(TcES、AsES)を用いたELISA、およびTcESを抗原とするウエスタンブロット法(TcES-WB)の診断有用性について評価した。その結果、AsSWAPが全回虫種感染のスクリーニング抗原として有用であることが示された。また、虫種特異性の高いES抗原では、TcESとAsESに対する反応性の違いからトキソカラ回虫(犬、猫回虫)感染の判別が可能と考えられた。さらに、TcES-WBでは犬、猫回虫の特異的バンドが犬、猫回虫感染鶏でのみ確認された。一方、豚、鶏回虫感染鶏はAsESに対して陽性反応を示し、ES抗原ELISAでは感染虫種の判別は困難であったが、鶏回虫成虫虫体抽出抗原(AgSWAP)による吸収処理を行うことにより、豚回虫感染鶏のみがAsESに対して強い陽性反応を示し、本法により豚回虫と鶏回虫感染の鑑別が可能であると考えられた。次に、本法を用いて9農場の178羽の地鶏を検査したところ、豚回虫陽性鶏1羽(1農場)、トキソカラ回虫陽性鶏21羽(5農場)が検出され、地鶏において人の動物由来回虫症の原因回虫が蔓延している可能性が示唆された。 一方、宮崎県内2か所のと畜場から肉用牛の血清332検体を入手し、AsSWAPを用いて検査したところ、86検体が抗体陽性となった。この86検体に対して、牛回虫の交差反応を除外するため、牛回虫成虫抽出抗原で吸収処理した後、ES抗原ELISAを行った。その結果、トキソカラ回虫が39検体で、豚回虫が17検体で陽性となり、肉用牛農家においても回虫類の汚染経路が存在する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農家における調査が未着手であるが、それ以外の項目に関してはほぼ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
鶏に関しては、平成27年度に引き続き、感染実験を行って感染条件の異なる場合における抗体価の推移を観察するとともに、陽性農家に対して調査協力を要請して疫学調査を開始する。平行して、鶏の病変部からの回虫DNA検出法を開発して、鶏肉類における虫体検出法を実践する。 牛に関しても、平成27年度の調査を継続し、牛回虫との交差反応など、牛における診断システムの精度を検証するとともに、と畜場から入手する検体の検査結果から陽性農家を特定して、調査協力を要請して疫学調査を開始する。
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Causes of Carryover |
当初計画で計上した人件費・謝金を使用せずに研究を遂行できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究遂行に必要な試薬類の購入に充てる。
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Research Products
(9 results)