2016 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲的生体試料(唾液、爪、毛髪)を用いた疾病早期診断法の開発
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15K07895
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
豊岡 利正 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40183496)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非侵襲的試料 / 疾病バイオマーカー / 光学活性誘導体化試薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのメタボローム研究では、ほとんどの場合、対象試料として血液と尿が使用されてきたが、我々の研究から唾液、爪、毛髪においても濃度は低いものの血液と類似の代謝物が存在しうることを見出している。またこれらの代謝物の中には、光学異性体が含まれていることも明らかにした。本研究では、非侵襲的な試料である唾液、爪、毛髪を試料としたメタボライトプロファイリング解析を実施し、測定対象生体試料としての有用性を検証する。 前年度は、アミノ基やカルボキシル基標識用の光学活性試薬およびR,S反転試薬を合成し、LC-MS/MS法によるプレカーサーイオンスキャン及び多変量解析を併用することにより光学活性代謝物を網羅的に検出する方法を提案した。本年度は、疾病診断の可能性を検討するため、健常者および患者の非侵襲的試料である唾液、爪を試料としたメタボライトプロファイリング解析を実施し、疾病(糖尿病、慢性腎不全、乳がん、痛風等)との関連性を検討した。 唾液を用いた検討により、糖尿病では、D-乳酸の割合が健常者に比較し優位に高いこと、慢性腎不全患者の透析前後の比較から透析後にクレアチニンの濃度が劇的に減少することを明らかとした。また乳がん患者では、ポリアミン類の比率が健常者と異なることを明らかとし、統計解析から導きだした判別式から乳がんの進行度を予測できることを示した。一方、痛風患者の爪では、尿酸値が高いことを見出し、診断試料としての爪の有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非侵襲的試料である唾液、爪を試料としたメタボライトプロファイリング解析を実施し、疾病(糖尿病、乳がん、慢性腎不全、痛風等)との関連性を検討した。その結果、唾液や爪は、疾病の診断試料として有用性であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
27-28年度に引き続き、各種官能基別光学活性標識試薬および同一構造を有する安定同位体を導入した標識試薬の合成および評価を行うとともに、非侵襲的試料(唾液、爪、毛髪)を用いて、健常者、未病者(境界領域者)、患者のメタボライトプロファイリン解析を実施し、疾病診断法の開発の可能性を検討する。
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