2016 Fiscal Year Research-status Report
嫌気性菌ベクターを用いた虚血性心疾患に対する血管新生療法薬剤の開発
Project/Area Number |
15K08023
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
和田 有子 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (30419410)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸 達一郎 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (70362118)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 血管新生療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で使用する偏性嫌気性菌 Bifidobacterium longum (B.longum)菌は、研究代表者の以前の研究により、全身投与(静注)でも虚血部位特異的に集積、増殖し、かつ虚血の改善に伴い消失するという、虚血性疾患治療薬の担体(ベクター)として極めて優れた特質を有したものである。またこの B.longumベクターにヒトbFGF遺伝子およびその発現遺伝子を組み込んだbFGF組換えB.longum (FGF-B.L) については、マウス下肢虚血に対し血管新生作用をもつということも確認している。 これらの研究成果に基づき、本研究では虚血性心疾患においても FGF-B.Lが血管新生療法薬剤として有用であることを示すことを目的とした。 初年度に実施検討していたモルモット心筋梗塞モデルについては、クライオアブレーション法という組織を外的要因により壊死させるという手法であったため、組織の低酸素状態の評価がわかりにくく、本研究の特徴である虚血部位に虚血の程度に応じて集積するという偏性嫌気性菌ベクターの組織評価の確認が難しいことが判明した。 そこで平成28年度はモデル作製法の見直しをおこない、結紮法による心筋梗塞モデルについて検討し、より最適なモデルを確立したうえで再度ベクターの投与試験をおこなった。 新たに確立したモデルにおいても、1.梗塞作製部位に限局したベクターの集積および健常心部位からの消失、2.他臓器への不散布、3.低心機能時における安全な投与量の確認、などが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル作製法の再検討に年度初旬は費やしたものの、その後の検討は順調に進んだため、低心機能時における安全性の確認まで行うことができた。 また、B.Lベクターのみ(空ベクター)とFGF-B.Lの比較による有効性の確認についても現在心機能評価合わせ実施中であり、期間終了後に組織評価を行うべく準備している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在実施中の心機能評価の解析、また摘出組織をもとに組織学的検査よび分子生物学的検査を実施し、有効性について比較検討する。解析結果に基づき必要であれば菌投与量の増加やマルトース投与による菌増殖時の栄養源補助などをおこなうほか、最終決定となるモデルにおいてはn数の増加も予定している。
|
Causes of Carryover |
モルモット心筋梗塞モデルにおける有効性について、各種検討がさらに必要である考えられるため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度も引き続き動物試験の実施およびその解析に必要となる物品を購入予定であり、また研究結果発表に必要な費用にも充てる予定であるため、平成29年度請求額と合わせて使用する。
|