2015 Fiscal Year Research-status Report
静脈血管平滑筋は動脈血管平滑筋と異なる収縮機転を示すか
Project/Area Number |
15K08157
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 洋一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40118253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40305991)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞内カルシウム変動 / 細静脈 / 細動脈 / 血管平滑筋 / セロトニン / アンギオテンシン / ノルアドレナリン / アデノシン3リン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的:組織液貯留や鬱血などの病態を明らかにする上で、器官・組織の中に存在する細静脈の収縮・拡張や血管外漏出(extravasation)機構の理解は不可欠であろう。しかしながら、静脈系の血管平滑筋の生理学的反応は、未だに審らかにされていない。本研究では、実験動物の各種臓器から分離した細静脈組織標本で、各種生理活性物質によって細胞内情報伝達系の要ともいうべき細胞内カルシウム濃度変動がどのように生じるかを明らかにする。対照として、当該組織から分離した細動脈標本を用いる。 研究方法:周囲結合組織が比較的乏しく、細静脈が分離しやすい精巣と眼球の脈管を観察対象とした。純化コラゲナーゼと眼科用剪刀やピンセットを用いて組織内から組織形態を保ったままの細動脈と細静脈を取り出した。その際、機械的な刺激をできるだけ防ぐように血管標本を慎重に取りだし、更に実験に供するまで2時間はリンゲル液の中に静置して、取り出し作業による影響が治まるように配慮した。次いで、ノルアドレナリンやセロトニンによる刺激を加えながら、共焦点レーザー顕微鏡下で細胞内カルシウム変動をratiometryによるイメージングで解析した。 研究結果:精巣の細静脈は、細動脈では刺激となったセロトニンやATPに対しては反応を示さず、いわゆる昇圧物質であるノルアドレナリンとアンギオテンシンに対して反応を示した。一方、眼球の細静脈はセロトニンに対して反応し、GPCRやイオンチャネルタイプの受容体を介することがわかった。これは中枢神経の血管系の特殊性を示すものと思われる。また血管平滑筋のイメージによると、細動脈では輪状配列しているのに対し、細静脈では敷石状配列をしていることから、これらの平滑筋の反応が、単純に血管系を狭めると言って良いのか、疑問が残っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細静脈標本が、思った以上に脆弱であり、標本作成時の引っ張りにより血管平滑筋が原型を維持していない可能性が出てきたため、形態的検証に手間取ったところがある。それ以外は、ほぼ順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
○ 細静脈よりも太い静脈での血管平滑筋の反応を観察する。 ○ 電子顕微鏡連続切片の立体構築法により、血管平滑筋の性状変化を捉える。
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Causes of Carryover |
予想外の大学教育用務のため、予定していた学会発表ができなかったため、次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表が困難な場合は、論文発表をおこなうこととし、また試薬や動物の購入に充てる。
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