2015 Fiscal Year Research-status Report
ミクログリアCaチャネルの神経変性疾患における役割
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15K08172
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三枝 弘尚 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90261205)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミクログリア / Caチャネル / Cav2.2 / 神経変性疾患 / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまずミクログリアにおいてタモキシフェン依存性にN型カルシウムチャネルの発現を抑制できるトランスジェニックマウス(Cav2.2 KDマウスと略)に対して1-Methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine (MPTP)を投与することによりパーキンソン病モデルを作製した。MPTPの投与は黒質緻密部のドーパミン神経変性を引き起こすことが知られており、その神経変性の程度を機能的側面と形態学的側面の両面から検討することを試みた。まずCav2.2KDマウスにタモキシフェンを投与し、ミクログリアにおけるCav2.2の発現抑制を誘導した。そして、MPTP投与前と後にロータロッドによる行動学的試験(6,8,10,12 rpm)を行い、各個体についてロッドから落ちるまでの時間を調べた。コントロールとして用いた野生型マウスでは MPTP投与後にロッド上滞在時間が短縮する傾向が認められたが、Cav2.2KDマウスの場合は増加する傾向が見られた。行動学的試験終了後にマウスの脳を灌流固定し、黒質緻密部を含むビブラトーム切片を作製した。そして、ドーパミン神経のマーカーとなるチロシンヒドロキシラーゼ(THと略)に対する抗体で免疫組織化学的染色を行い、残存するドーパミン神経の数について検討した。 その結果Cav2.2KDマウスの方が野生型マウスと比べて黒質緻密部のTH陽性神経の数が多い傾向にあった。これらの実験はまだ例数が少ないので今後同様の実験を行い最終的な結論を出したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ミクログリアにおけるCav2.2チャネルの発現抑制が可能なトランスジェニックマウス(Cav2.2KDマウス)においてMPTPを用いたパーキンソン病モデルを適用し、Cav2.2KDマウスにおいて症状が軽減する傾向にあることを示唆するデータが得られているところであり、概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続きCav2.2KDマウスにおいてMPTP投与によるパーキンソン病モデルの実験を継続し、データを統計的に処理して明確な結論を得ることを目指す。また、ミクログリアにおいてCav1.2チャネルの発現抑制が可能なCav1.2KDマウスにおいても同様にMPTPの影響を調べ、パーキンソン病におけるミクログリアのCav1.2チャネルの機能について洞察を得たいと考える。さらにパーキンソン病の他にアルツハイマー病のモデルの適用も行いたいと考えている。当初の計画では3-nitropropionic acidによるハンチントン病の薬理学的モデルの適用を考えていたが、より社会的なニーズの大きいアルツハイマー病について検討する方向に変更したいと考えている。いずれにしても、これらの実験により神経変性疾患におけるミクログリアの電位依存性カルシウムチャネルの機能について包括的な考察を行いたいと考えている。
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