2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K08176
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柴崎 忠雄 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (00323436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 晴美 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (50546489)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インクレチン / 開口分泌 / GLP-1 / GIP / 腸管内分泌細胞 / インスリン / 膵β細胞 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
Noc2欠損マウスにおいてインクレチン分泌が障害されることが前年度の検討から明らかとなった。本年度は腸管内分泌細胞におけるインクレチン顆粒の局在について解析を進めた。まず、野生型マウスを用いて、腸管内分泌細胞であるK細胞やL細胞におけるGIP顆粒およびGLP-1顆粒の局在を抗GIP抗体および抗GLP-1抗体による染色組織学的解析を用いてそれぞれ検討し、いずれも既報と同様に血管側に存在することを確認した。さらに、これらの細胞におけるNoc2の局在を抗Noc2抗体を用いて検討したところ、K細胞やL細胞ともNoc2は血管側においてGIP顆粒とGLP-1顆粒と共局在することが明らかとなった。続いてNoc2欠損マウスのK細胞やL細胞におけるGIP顆粒とGLP-1顆粒の局在を解析したところ、いずれも細胞内で散在していた。これらの結果からNoc2欠損マウスにおけるインクレチン分泌障害はK細胞やL細胞における分泌顆粒の局在の障害に起因する可能性が示唆された。 次に腸管内分泌細胞株を用いて、実際にNoc2がインクレチン分泌に重要であることを検討した。マウス腸管内分泌L細胞株GLUTagにおけるNoc2とGLP-1顆粒の局在を調べたところ、野生型マウスのGLP-1顆粒での結果と同様に、これらは共局在していた。さらにNoc2の発現をsiRNAを用いてノックダウンしたGLUTag細胞を2%ペプトン(meat hydrolysate)で刺激し、GLP-1分泌を検討したところ、コントロールsiRNAを導入した細胞に比し、有意に障害されていた。以上の結果から、Noc2はインクレチン分泌において重要な役割を有することがin vitroでも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画に従い、腸管内分泌細胞におけるNoc2の役割についてNoc2欠損マウスのおよび腸管内分泌細胞株を用いて検討し、GIP顆粒やGLP-1顆粒と共局在すること、GLP-1分泌に重要であることを示した。Noc2は膵β細胞においてインスリン顆粒と共局在することを我々は以前報告している。したがって、今回の結果からNoc2は広く分泌細胞において分泌顆粒と共局在することが明らかとなるとともに、Noc2の分泌細胞における重要性が示された。これらの発見はインクレチン顆粒の腸管内分泌細胞における血管側への局在に関与する分子に関する初めての報告であり、極めて意義深い。また解明が進んでいない腸管内分泌細胞における分泌機構の分子基盤の一端を示すものであり、今後の研究の進展に寄与するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Noc2をノックダウンあるいは欠損した腸管内分泌細胞で何故インクレチン分泌が障害されるかを調べる。まず、Noc2のインクレチン分泌制御の分子機構についての検討を進める。具体的にはNoc2の欠損によるインクレチン分泌障害がインクレチン自体の発現低下なのか、インクレチン分泌機構の障害なのかを検討する。前者であった場合、インクレチンの発現におけるNoc2の役割を検討する。後者であった場合、その詳細について以下のように調べる。多くの分泌細胞からのホルモン、酵素、神経伝達物質の放出は細胞内シグナルの活性化を経て細胞膜の脱分極、電位依存性カルシウムチャネルの開口、カルシウムの流入によって惹起される。Noc2のノックダウンによってインクレチン分泌が抑制された時、この経路のどのステップが障害されたかを検討するために、脱分極以降の開口分泌の最終ステップを活性化する高濃度カリウム刺激を行い、Noc2の作用部位が脱分極以前の細胞内シグナルのステップか、あるいは脱分極以降の開口分泌の最終ステップかを調べ、刺激と開口分泌の関係を明らかにする。以上の解析から、Noc2によるインクレチン分泌の分子機構を解明する。
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[Journal Article] A novel diphenylthiosemicarbazide is a potential insulin secretagogue for anti-diabetic agent.2016
Author(s)
Sugawara k, Honda K, Reien Y, Yokoi N, Seki C, Takahashi H, Minami K, Mori I, Matsumoto A, Nakaya H, Seino S
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 11
Pages: e0164785
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Chronic Arsenic Exposure Impairs Pancreatic Function.2016
Author(s)
Carmean CM, Kirkley AG, Yokoi N, Hoshikawa R, Honda K, Gheni G, Sugawara K, Takahashi H, Sargis RM, Seino S
Organizer
17th Servier-IGIS Symposium
Place of Presentation
St. Jean-Cap-Ferrat, France
Year and Date
2016-04-05
Int'l Joint Research