2016 Fiscal Year Research-status Report
視床下部腹内側核に作用して走行運動を調節する物質を発見する
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15K08204
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
成田 和巳 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (80270958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重松 陽介 福井大学, 学術研究院医学系部門, 客員教授 (80162593)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レプチン / オキシトシン / 運動量 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
視床下部腹内側核に作用して走行運動を調節する物質を発見することを目的として、以下の実験を行った。 まずは申請時の時点で、予備実験でオキシトシンがラット視床下部に作用して走行運動を誘発するという結果を得ていた。そこでこのオキシトシンの作用を明確にするために詳細な実験を行った。そのためにオキシトシン作用の部位特異性、オキシトシン受容体阻害薬の同時投与、バゾプレシン投与による類似効果の有無、エストロゲン前投与による作用増強を検討した。 その結果、オキシトシンの作用は視床下部腹内側核の背内側部で最も強い効果が得られ、一方視床下部外側野などの近傍では有意な効果は得られなかった。またオキシトシンの作用は受容体阻害薬の同時投与で有意に抑制された。またオキシトシンと構造が近似しているバゾプレシンでは同様の作用は得られなかった。オキシトシン受容体の発現を増加させる効果があるエストロゲンの前投与により、オキシトシンの作用は増強された。 オキシトシンはホルモンや神経伝達物質をして作用しているだけでなく、経鼻投与により薬物と効果を発揮するという数々の研究が発表されている。今回発見されたオキシトシンの新しい効果についても、この方法により再現できる可能性が考えられる。そして自発運動量をオキシトシン処置によりコントロールすることが出来れば、生活習慣病や肥満など現代人が抱える健康問題を解決するのに大きく役立つことが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題名の通り、視床下部腹内側核に作用して走行運動を誘発する物質として新たにオキシトシンを発見した。オキシトシンは初年度に報告したレプチンとあわせ、肥満や摂食調節、発達障害などに関与することが知られていて近年多くの注目を集めている物質である。これらの物質で、自発運動量を調節するという新たな作用が見つかったことは、大きな意義があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回明らかとしたオキシトシンの作用はラット脳内に直接薬物を投与する方法を用いている。一方、オキシトシンは噴霧などによる経鼻投与によっても特定の作用を発揮するという報告が出されている。そこで今後は、本研究で見いだしたオキシトシンの自発運動に対する効果がオキシトシンの経鼻投与によっても発揮されるか、実験動物を用いて検討する。この投与方法によっても有効な効果が得られるならば、人への応用に大きく前進することが期待できる。
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Causes of Carryover |
2017年4月から大阪夕陽丘学園短期大学へ異動することが2016年7月に内定した。それに伴い実験を一時停止する必要が生じ、実験の縮小や物品購入の差し控えを行った。そのために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き行う今後の実験で使用する予定である。
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Research Products
(1 results)