2015 Fiscal Year Research-status Report
高悪性度EGFR遺伝子変異型肺腺がんの発生・進展に関する分子基盤の解明
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15K08365
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大橋 健一 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40231203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10326027)
立石 陽子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20644438)
梅田 茂明 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30644439)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺癌 / 腺癌 / 病理学 / EGFR |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、遺伝子異常や発現する分子の違いによる腫瘍の分類が試みられている。肺腺癌では、EGFRやKRASがん遺伝子の変異によって腫瘍を分類する試みがある。本研究の目的は、特にEGFRに変異がある肺腺癌から高悪性度病変を抽出し、その病理組織学的特徴を明らかにすることである。 直径3cm以下のEGFR変異(+)肺腺癌100例(外科症例)からリンパ節転移(+)の21例を高悪性度病変として抽出し、その組織学的特徴をEGFR変異(-)リンパ節転移(-)79例、EGFR変異陰(-)リンパ節転移(+)26例、EGFR変異(+)リンパ節転移(-)108例と比較しながら解析した。結果、EGFR変異型高悪性度病変は、微小乳頭状亜型の成分を有意に多く含んでいた。微小乳頭状亜型成分を一定以上含むものと含まないものの2群に分け再発率を比較すると、微小乳頭状亜型の成分を多く含む症例は術後再発危険度が有意に高かった。多変量解析の結果からは微小乳頭状亜型の割合はリンパ管侵襲の有無と並ぶ独立再発予後因子であることが示された。手術不適なEGFR変異型肺腺癌(内科症例)においても、微小乳頭状亜型成分を有する症例が多く見られた。 以上から、EGFR変異型肺腺癌の悪性度は微小乳頭状の組織亜型成分によって規定されていることが示された。この結果が、EGFR変異肺腺癌の再発予測指標と術後追加治療の選択的適応基準の確立につながることが期待される。今後微小乳頭状亜型が生じる分子メカニズムを追求していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予測されていた症例数の確保ができ、病理学的、分子病理学的解析が順調に進んでいる。今後予定している分子病理学的、細胞生物学的解析を行う環境も整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
高悪性度EGFR変異型肺腺癌の特徴である微小乳頭状亜型が出現する分子メカニズムを明らかにしたい。高悪性度群における微小乳頭状亜型とそれ以外の成分、低悪性度群で発現されている遺伝子プルファイルの違いを明らかにして、重要な働きをしている遺伝子を見つけていきたい。また、微小乳頭状亜型の出現に関与しているmicroRNAの発現プロファイルについても検討していきたい。 間質性肺炎に合併する肺腺癌も高悪性度を示すことが知られているが、病理学的特性を明らかにして、細胞学的特性、分子メカニズムを解析していきたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度では肺癌データベースの整備、臨床病理学的解析を主に行い、高悪性度EGFR変異型肺腺癌の病理学的特性を明らかにする事ができた。当初、遺伝子プロファイルの解析に大きな支出があると見込まれたが、次年度に行うこととなった。研究全体の進行については順調と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高悪性度群の特徴的な細胞・組織像を示す浸潤部分からマイクロダイセクション法で組織を切り出し、遺伝子を抽出、非浸潤部の気管支肺胞上皮型成分と比較して高発現している分子を遺伝子マイクロアレイを用いて網羅的に解析する。網羅的遺伝子解析の結果からわかった高発現されている候補分子について、肺がん細胞株での発現をノザン、ウェスタンブロット法により確かめる。また、ヒト肺がん臨床材料を用いてRT-PCR法により定量的に発現を検討し、浸潤・転移などに関する臨床病理学的項目との関連を明らかにする。また、抗体が利用できる分子については免疫染色を併せて行い、マイクロRNAについてはIn situ hybridization法によって、分子発現の局在、浸潤先進部との関係、周囲間質細胞変化などとの関係を検討する。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 間質性肺炎に合併する肺癌の病理組織学的検討2015
Author(s)
小島 陽子, 奥寺 康司, 松村 舞依, 梅田 茂明, 立石 陽子, 田尻 道彦, 小倉 高志, 益田 宗孝, 大橋 健一
Organizer
日本病理学会総会
Place of Presentation
名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
Year and Date
2015-04-30 – 2015-05-02
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