2015 Fiscal Year Research-status Report
神経前駆細胞・がん細胞の血管に沿った移動におけるアクチン結合蛋白ガーディンの役割
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15K08399
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅井 直也 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80273233)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 蛋白リン酸化 / 疾患モデルマウス / 癌 / 神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) Girdinチロシンリン酸化部位の変異マウスの作成と解析 Girdinのチロシンリン酸化の役割を個体レベルで調べるため、チロシンリン酸化部位Y1764とY1798に変異を導入したマウス(Girdin Y1764FおよびGirdin Y1798F)と、両変異を重複させたマウス(Girdin Y1764,1798F)の3系統のノックインマウスの作製を進めた。既に作成が終わったGirdin Y1798F変異マウスの系統は交配によってもホモが得られず、サザンブロットでの解析で正しいlocusに変異が導入されていないことが判明したので、再度の作り直しが必要となった。残りの2系統(Girdin Y1764F、Girdin Y1764,1798F)はES細胞クローンを得ることに成功し、強い表現形が期待されるGirdin Y1764,1798Fのキメラマウス作成を先行して行い、寄与率の高いキメラマウスから野生型マウスとの交配によるF1マウスが得られた。現在、F1とCreトランスジェニックマウスとを交配させてNeoカセットの除去を試みている。 2) 発がんマウスの系の確立 名古屋大学脳神経外科との共同研究により、PDGF高発現によるGlioblastomaの脳腫瘍発がんの実験系を導入した。この系で発生するGlioblastomaはヒト腫瘍と非常に組織像が類似しており、Glioblastomaの特徴である血管の異常増生が観察された。腫瘍細胞の血管に沿った移動について観察を試みたが、反応性グリア細胞と腫瘍細胞との区別が困難であるため、腫瘍から分離した癌幹細にマーカー遺伝子を導入して、免疫不全マウスに移植させての実験を行うこととした。予備実験での移植には成功し、現在、癌幹細胞にマーカー遺伝子の導入を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2個のチロシン残基を同時に変異させたノックインマウスの作成に成功した。Y1764、Y1798残基はリン酸化によるアダプター蛋白との結合に相互補完性を示すため、重複変異マウスでは機能の完全な抑制から表現形が最も重篤と想定される。この変異マウスの解析を先行させることで、計画に沿ったプロジェクトの進行が可能である。また、ヒト脳腫瘍に極めて類似した組織像を呈する発がんモデルの利用に目処を立てることが出来たので、これを材料に用いた更なる実験が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたGirdin Y1764,1798F重複変異マウスの解析を行うと共に、単独変異マウスの作成を進める。また、変異マウスと発癌マウスの交配を準備する。脳腫瘍発癌マウスの他として、当研究室で他の実験と予定する乳癌・膵臓癌・肺癌の発癌系が当実験計画に適した腫瘍か検討する。
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Causes of Carryover |
変異マウスの解析を行う予定であったが、マウスの系統が実験に適さないことが判明し、次年度以降に実験が持ち越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに作製したチロシン重複変異マウスの表現形解析を行う際に使用を予定している。
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Research Products
(4 results)