2016 Fiscal Year Research-status Report
神経前駆細胞・がん細胞の血管に沿った移動におけるアクチン結合蛋白ガーディンの役割
Project/Area Number |
15K08399
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅井 直也 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80273233)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 細胞移動 / チロシンリン酸化 / GEF活性 / 遺伝子改変動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) Girdinチロシンリン酸化部位の変異マウスの作製と解析 Girdinのチロシンリン酸化の役割を個体レベルで解析する目的で、チロシンリン酸化部位Y1764とY1798の両者をフェニルアラニンに置換した変異マウス(GirdinY1764,1798F)の作製を試み、変異マウスの樹立に成功した。Girdinノックアウトマウスのホモは、生後1~3週間のうちに生育不良となり、離乳前には全匹が死亡するのであるが、GirdinY1764,1798F変異マウスのホモは外見上、正常に発育し、半年前に生まれたホモが現在まで生き続けている。従って、GirdinY1764,1798F変異マウスの表現型はノックアウトマウスよりマイルドと考えられる。Girdinノックアウトマウスには、脳室下帯で新生された神経前駆細胞の嗅球への移動が障害され、移動経路であるRMSが拡張するという異常が生じるが、GirdinY1764,1798F変異マウスのRMSは正常の構造が保たれていた。従って、神経前駆細胞の移動にはGirdin Y1764およびY1798のリン酸化は必須でないと考えられる。
2) GirdinのGEF活性を喪失する変異マウスの作製と解析 GirdinはC末端部にGEF活性をもつドメインを有しており、F1696Aの変異によりGEF活性は喪失する。他の研究グループの解析から、GEF活性とチロシンリン酸化によるシグナル制御は密接な関わりがあることが分かっている。今回、GEF活性喪失変異であるGirdin F1696A変異マウスを作製し、解析を行った。Girdin F1696A変異マウスのホモはGirdinノックアウトマウスと同様、生後1~3週間のうちに生育不良となり、離乳前には全匹が死亡した。また、RMSは拡張しており、神経前駆細胞の移動障害が起こっていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Girdingのチロシンリン酸化による機能制御と、GEF活性による機能制御の相互作用を調べる目的で、GirdinY1764,1798F変異マウスとGirdin F1696A変異マウスの2系統の変異マウスの作製に成功した。2者は異なる表現型を示しており、両機能および両者の相互作用を個体レベルで解析する有用な実験ツールを得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回得られた結果は、実験前に立てた予想とは異なり神経前駆細胞の移動にはGirdin Y1764およびY1798のリン酸化は必須でないことを示唆している。しかしながら、移動速度や血管に沿った移動様式などに異常が起こっている可能性があるので、神経前駆細胞のin vitro培養などの系で、更に詳細な解析を行うことを予定している。また、腫瘍における移動についても更に解析を行う予定である。 また、興味深ことに、抗Y1798リン酸化Girdin抗体を用いた免疫染色により、Girdin F1696A変異マウスのホモでは、Y1798リン酸化が抑制されていることが判明し、GEF活性の下流でY1798リン酸化が制御されていると考えられた。このことは、両機能の相互作用を示唆するものであり、今後、更に解析を進める予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
[Journal Article] Significance of low mTORC1 activity in defining the characteristics of brain tumor stem cells.2016
Author(s)
Han YP, Enomoto A, Shiraki Y, Wang SQ, Wang X, Toyokuni S, Asai N, Ushida K, Ara H, Ohka F, Wakabayashi T, Ma J, Natsume A, Takahashi M.
-
Journal Title
Neuro Oncol.
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed
-
[Journal Article] CCDC88A mutations cause PEHO-like syndrome in humans and mouse.2016
Author(s)
Nahorski MS, Asai M, Wakeling E, Parker A, Asai N, Canham N, Holder SE, Chen YC, Dyer J, Brady AF, Takahashi M, Woods CG.
-
Journal Title
Brain
Volume: 139
Pages: 1036-44
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-