2016 Fiscal Year Research-status Report
活性イオウ分子種による新規オートファジー制御機構と感染防御における役割
Project/Area Number |
15K08456
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤井 重元 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00325333)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細菌 / 感染防御 / オートファジー / 活性イオウ分子種 / 硫化水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、システインパースルフィドをはじめとした活性イオウ分子種のユニークな化学反応性に基づくオートファジー制御の分子メカニズムを解明し、その細胞内殺菌と感染防御における役割を明らかにすることを目的としている。昨年までの研究において、システインパースルフィドなどの活性イオウ分子種がオートファジー誘導に関わる8-ニトロ-cGMPのシグナル活性を制御していること、および細胞内に各種活性イオウ分子が様々なレベルで存在していることを明らかにしてきた。本年度の研究において、タンパク質翻訳に共役した新規活性イオウ分子種産生系について詳細な解析を行ったところ、これまでに知られていたシスタチオニンβ-シンターゼやシスタチオニンγ-リアーゼよりもシステインパースルフィド産生活性が高く、同産生系が細胞内システインパースルフィド産生の大部分を占めていることが分かった。また、ネズミチフス菌を感染した細胞のオートファジー誘導における8-ニトロ-cGMP関連シグナル経路の解析を行い、感染細胞内において、オートファゴソーム内のサルモネラ菌体が著明にS-グアニル化を受けており、S-グアニル化を受けた菌体がLC3やp62と共局在することが示された。さらに、S-グアニル化タンパクの詳細な解析を行った結果、線毛関連タンパク質を含めた様々な菌体タンパク質がS-グアニル化の標的となることが分かった。これらの結果より、細胞内活性イオウ分子種と8-ニトロ-cGMPにより感染細胞におけるオートファジー誘導が制御されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおり感染細胞内のオートファジー誘導における活性イオウ分子種の役割およびそのシグナル伝達機構の解析を行い成果を得ることができた。また、活性イオウ分子種の細胞内生成に関して新規システインパースルフィド生成系の発見があり、おおむね順調に研究が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、当初計画に大きな修正の必要はない。新規システインパースルフィド産生系の役割の解析や菌体が産生する硫化水素、活性イオウ分子種のオートファジーへ影響の解析など、研究課題の目的の達成に向けて当初計画を大きく変更することなく研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
研究実施に関して実験計画の見直しを行い効率的に実験を行った結果、当初計画よりも少ない経費で研究成果が得られたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
活性システインパースルフィドによるオートファジー制御機構の詳細な解析、特に新規システインパースルフィド産生系の役割についての解析など、本研究の目的達成のためのさらに詳細な解析を行うために使用する。
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[Journal Article] Mice deficient in Angiopoietin-like protein 2 (Angptl2) gene show increased susceptibility to bacterial infection due to attenuated macrophage activity2016
Author(s)
Yugami M, Odagiri H, Endo M, Tsutsuki H, Fujii S, Kadomatsu T, Masuda T, Miyata K, Terada K, Tanoue H, Ito H, Morinaga J, Horiguchi H, Sugizaki T, Akaike T, Gotoh T, Takai T, Sawa T, Mizuta H, Oike Y.
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Journal Title
J Biol Chem
Volume: 291
Pages: 18843-18852
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Protein polysulfidation-dependent persulfide dioxygenase activity of ethylmalonic encephalopathy protein 12016
Author(s)
Jung M, Kasamatsu S, Matsunaga T, Akashi S, Ono K, Nishimura A, Morita M, Abdul Hamid H, Fujii S, Kitamura H, Sawa T, Ida T, Motohashi H, Akaike T.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 480
Pages: 180-186
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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