2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢者終末期ケアと事前指示の実態に関する縦断的検討
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15K08549
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 泰三 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (90378646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松林 公蔵 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (70190494)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アドバンス・ケア・プランニング / 事前指示書 / 総合機能評価 / 認知機能 / 老研式活動能力指標 / 抑うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度も土佐町在住者とライフ・イン京都入居者を対象とした総合機能評価を継続した。 2018年10月、ライフ・イン京都において入居者209名(平均年齢86.4才(57-102才))を対象とし、基本的日常生活動作、老研式活動能力指標、転倒スコア、抑うつ度、主観的健康感を評価するとともに事前指示書と説明書を配布した。コミュニケーション可能な入居者全員を対象とした積極的なアドバンス・ケア・プランニングの実践を試みた結果、2018年の事前指示書作成者は67.0%となった。事前指示書作成の有無によって年齢、基本的日常生活動作、老研式活動能力指標、抑うつ度,主観的健康感に有意な差はなかった。認知機能検査実施の同意をえた59名の検討でも事前指示書の有無で年齢、基本的日常生活動作、老研式活動能力指標、抑うつ度,主観的健康感に有意差はなかったが、事前指示書作成者のMMSEスコアは非作成者と比べて有意に高かった。(P=0.01) 土佐町においては2018年総合機能評価問診に回答した417名(平均年齢82.1才(74-98才)のうち住民有志が作成したエンディングノート「おぼえがき」を作成していたものは18.9%であった。「おぼえがき」には人生最終段階の医療に関する要望についての記載もあるが、医療機関への提出はほとんどなく、「おぼえがき」からアドバンス・ケア・プランニングの実践にむけた取り組みについて、嶺北地域の病院関係者、自治体関係者とともに打ち合わせをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度も土佐町在住高齢者とライフ・イン京都在住高齢者を対象とした総合機能評価をおこない、事前指示の作成状況を明らかにした。ライフ・イン京都では事前指示書を全入居者に配布して広報活動をおこなったほか、土佐町では地域包括ケアのなかでのアドバンス・ケア・プランニングの実践にむけて病院職員と自治体職員に対する説明会を実施するなど、ほぼ計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき両地域での総合機能評価健診をおこなって、事前指示書の作成状況を明らかにする。土佐町においては住民有志で作成した「おぼえがき」を改定した形で新たな事前指示書を作成し、総合機能評価健診時に希望者を対象として配付し、アドバンス・ケア・プランニングを推進する。適宜、英国・レスター大学、インドネシア・チェンデラワシ大学、スイス・ローザンヌ大学の研究者らと連携して高齢者終末期ケアの実態に関する情報収集を行う。
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Causes of Carryover |
総合機能評価時におけるアンケート配付・回収にあたって町民や施設職員の協力を得ることができたため人件費が予想よりも少なくすみ次年度使用額が生じた。今後は高齢者終末期ケアと事前指示の実態についてさらに長期に検討し、死因と事前指示、総合機能に関する分析のための基礎資料を得る。
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