2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K08573
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
可知 悠子 日本医科大学, 医学部, 助教 (10579337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 智之 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00224791)
高橋 美保 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10549281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非正規雇用 / 健康影響 / 国際比較 / 循環器疾患リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究課題の達成のための第一歩として、(1)国内外の非正規雇用の特徴や健康影響に関する文献をレビューするとともに、(2)国内における非正規雇用の健康影響について官庁統計を用いて分析を行った。 まず、国内外の非正規雇用の健康影響に関する文献レビューの結果、日本でのエビデンスはこの数年増加傾向にあるものの、諸外国と比べ研究が立ち遅れていることが明らかとなった。先行研究を総括すると、非正規雇用者は正規雇用者と比較して、労働災害や筋骨格系の障害が多い、喫煙率が高い、健康診断受診率が低い、主観的健康感が低い、うつ・不安障害の発症率が高いことなどが報告されていた。今後さらなるエビデンスを積み重ねる必要があるが、特に非正規雇用の身体疾患への影響に関するエビデンスがほとんどないため検討が必要であると考えられた。 そこで次に、非正規雇用と循環器疾患リスク因子との関連について国民生活基礎調査と国民健康・栄養調査のデータをリンケージして分析を行ったところ、男性では喫煙が、女性では糖尿病が非正規雇用との関連が認められた。ただし、その他のリスク因子との関連は認められず、必ずしも非正規雇用者の方が正規雇用者と比べて循環器疾患のリスクが高いとは言えないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の非正規雇用の健康影響に関する文献レビューを行い、先行研究について概ね把握できた。また、この成果を産業衛生学雑誌の連載「健康から考える 非正規雇用の課題と対策」にて報告できた。さらに、官庁統計を用いた分析を行い、成果をだし、日本公衆衛生学会にて発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
非正規雇用の健康影響の国際比較を行うため、国内外の研究者や有識者にインタビュー調査を行い、非正規雇用の健康影響について質的な情報を収集する。ここで得られた情報を元に、非正規雇用の健康影響の国内外における共通点と相違点を推測する。次に、日本の官庁統計の利用申請を行うとともに、欧米のパネルデータについても利用申請を行い、日本と欧米のデータを比較可能な形式に整え、比較分析する。
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Causes of Carryover |
妊娠・出産に伴い移動に制限があったため、国内外の有識者に対するインタビュー調査が実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内外の有識者に対するインタビュー調査を実施する。
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Research Products
(5 results)