2015 Fiscal Year Research-status Report
肺癌化学療法の効果・副作用予測因子としての有機カチオントランスポーターの橋渡し研究
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15K08593
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小栗 鉄也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60363925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高桑 修 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10647332)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オキサリプラチン / シスプラチン / 肺癌 / 大腸癌 / OCT6 / MATE |
Outline of Annual Research Achievements |
有機カチオントランスポーター(OCT)と抗がん剤プラチナ製剤耐性との更なる関連を調べるために、シスプラチン(CDDP)以外にオキサリプラチン(L-OHP)耐性肺がん細胞株を樹立した。L-OHP耐性肺がん細胞株はL-OHP以外にCDDPにも交叉耐性を示し、OCTファミリーの中でOCT6の蛋白発現低下が認められた。尿細管でL-OHPの排泄に関わるトランスポーターmultidrug and toxin extrusion(MATE)ファミリーの蛋白発現も調べたが、変化を認めなかった。親株とL-OHP耐性肺がん細胞株においてL-OHP曝露後の細胞内プラチナ濃度を測定したところ、L-OHP耐性肺がん細胞株において細胞内プラチナ濃度は減少しており、OCT6の蛋白発現低下により細胞内へのL-OHPの取り込みが減少していることが分かった。 さらにOCT6強制発現細胞肺がん細胞株においてはコントロールに比べてL-OHP曝露後の細胞内プラチナ濃度を測定上昇していた。以上の結果から以前CDDP耐性肺がん細胞株での結果と同様に、OCT6の蛋白発現がプラチナ製剤耐性に直接かかわることが示された。また組織発現の検討として、肺がんおよび大腸がんとその正常組織においてOCT6蛋白は発現していることも確認した。 今後は臨床検体でのOCT6発現と抗がん剤プラチナ製剤の効果について検討を行う基礎的データを示すことができた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在OCT6の発現抑制肺がん細胞株の樹立を行っているが、まだ樹立には至っていない。OCT6の発現抑制株が樹立できれば、OCT6強制発現細胞株とともに、親株やコントロール細胞株と比較し、どのような抗がん剤や分子標的治療薬がOCT6の基質となってその感受性の変化や細胞内薬剤濃度に変化を及ぼすか検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
OCT6の基質となって薬剤に関して、まずは基礎的な検討を行ってゆく。またOCT6には遺伝子多型が存在し、イマチニブやアドリアマイシンの薬剤代謝に影響を及ぼすことが知られているまたOCT6は血液細胞にも発現していることから、OCT6の遺伝子多型と抗がん剤プラチナ製剤の治療効果や血液毒性についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
OCT6のノックダウンに用いる方法、試薬を変更したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品に使用する予定
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