2015 Fiscal Year Research-status Report
心血管イベントの予測因子としての脂質代謝酵素動態の解明
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15K08627
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小林 淳二 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60302577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川尻 剛照 金沢大学, 医学系, 准教授 (90345637)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 家族性高コレステロール血症 / リポ蛋白リパーゼ / 血管内皮リパーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性高コレステロール血症(FH)はLDLコレステロールが著明に増加し早発性冠動脈疾患を高率に合併する遺伝性疾患であり、強力なLDL低下療法が重要である。LDLを低下させる治療薬としてロスバスタチン(R)、エゼチミブ(E)、コレスチミド(C)の有効性や安全性は論を待たない。一方でこれら治療薬のリポ蛋白リパーゼ(LPL)と血管内皮リパーゼ(EL)に及ぼす影響は解決されていない。今年度はLDL-R遺伝子変異で確定されたFHを対象として脂質代謝酵素の中でLPLとELの動向を調べた。今年度は、ヘテロFH16名(N=16, 平均年齢 63 yr)を対象として、脂質低下剤R、E、CのLPL、EL蛋白量に及ぼす影響を検討した。R(20mg/日)はLPL蛋白量を低下させ(中央値87.4 [IQR:71.4-124.7] → 67.5 [IQR:62.1-114.3] ng/ml, p < 0.05)、EL蛋白量を増加させた(中央値278.8 [IQR:186.7-288.7] →297.0 [IQR:266.2-300.2] ng/ml, p < 0.05)。一方、E(10mg/日)やC(3.62g/日)はLPLやEL蛋白量を変えなかった{EのLPLに関し中央値67.5 [IQR: 62.1-114.3] →70.2 [IQR: 58.3-106.2]; ELに関し中央値 297 [IQR: 266.2-300.2]→241.8 [IQR: 232.0-305.6]ng/ml}{CのLPLに関し中央値67.5 [IQR: 62.1-114.3] →74.9 [IQR: 55.6-101.3] ng/ml;ELに関し中央値 297 [IQR: 266.2-300.2] →243.5 [IQR: 231.6-298.5] ng/ml}。3剤ともLDL低下剤として日常診療に用いられるがLPL やELへの影響は全く異なることが示唆された。この成績は欧文論文で発表した(Tada H, Kobayashi J, et al.Lipids Health Dis. 2016 Apr 2;15(1):66.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LDL-R遺伝子変異で確定されたFH患者をエントリーし、脂質代謝酵素LPLとELの蛋白量測定を施行することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はFH患者検体を更に収集するとともに、動脈硬化症の指標である頸動脈エコー所見や冠動脈CTとの相関を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
LPLやEL酵素蛋白量測定のELISAキット(1キット約100,000円)の購入費用が、あらかじめ保管してあった使用期限内のものを使用したためキットの購入数を大幅に抑えることが出来た。そのことによる余剰金である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究を推進していくために、ひきつづき、LPLやEL酵素蛋白量測定のための費用にあてていく。昨年度はELとLPLのみにつき検討したが、HTGLについても検討予定である。
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Research Products
(13 results)