2017 Fiscal Year Research-status Report
重症敗血症患者から分離された新規Capnocytophaga属菌に関する研究
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15K08662
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 道雄 国立感染症研究所, 獣医科学部, 主任研究官 (00392324)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 新規Capnocytophaga属菌 / C. camimorsus / C. cynodegmi / C. canis / イヌ口腔内細菌 / ネコ口腔内細菌 / 薬剤感受性 / 全ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦で確認されたCapnocytophaga canisによる敗血症例について、英文論文による症例報告を行った。これは世界で最初のC. canis感染による敗血症例の報告となった。また、国内において、H29年度には計14例のイヌ・ネコ由来のCapnocytophaga感染例を把握した。うち13例がC. canimorsus感染例、1例がC. cynodegmi感染例であり、C. canis感染例はなかった。薬剤感受性試験ではEtestを用いてMICを測定し、C. canimorsusに対する各薬剤のMIC80を算出した。C. canimorsusの1株がβ-ラクタマーゼ陽性で、ペニシリンに対して耐性を示した。 当室で保管していたイヌ・ネコ口腔内から分離されたCapnocytophaga属菌をより詳細に解析した結果、イヌ分離株とネコ分離株各1株が、C. canisであることが確認された。これらの菌株は敗血症患者から分離された3株と同様にオキシダーゼ陽性であり、当室で保管するC. canis株は5株全てがオキシダーゼ陽性で、RenziらのC. canisの記載論文(2015)において報告されている、34株中33株がオキシダーゼ陰性というデータとは対照的な結果であった。上記のC. canis計5菌株について、全ゲノム解析を実施し、アノテーションを行った。Capnocytophaga属菌において、病原性に関わる可能性があると推定されている9型分泌装置関連遺伝子をC. canisも保有していた。 C. canisは近縁のC. canimorsusやC. cynodegmiと同様にヒト健常者血液中補体による殺菌能に対して感受性であった。 上述のCapnocytophaga属菌イヌ・ネコ口腔内株の遺伝子解析によって、新菌種候補株が見出され、各種の生化学的および化学的性状解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C. canis特異的PCR検査法およびMLSA法によるC. canisのタイピング法の開発、患者発生状況およびイヌ・ネコの保有状況の調査、薬剤感受性および補体殺菌能に対する抵抗性試験等は概ね計画通り進展したが、その結果報告の論文投稿が予定よりも遅れている。そのため研究期間を延長して成果発表を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
全ゲノム解析によって得られた遺伝子データについて、9型分泌装置関連遺伝子や薬剤感受性遺伝子に特に着目してさらなる解析を行う。 これまでに得られている研究結果について、順次学会および論文発表を通じて公表していく。
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Causes of Carryover |
(理由) 年度末納品等にかかる支払いが平成30年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。また、投稿料を支出予定であった投稿中の論文の査読が未了のため、その支払いが繰り越しとなったほか、投稿が未了の論文もあり、その英文校閲費等についても繰り越しとなった。 (使用計画) 年度末納品等にかかる支払いについては上記のとおり。投稿中の論文の投稿料や今後投稿予定の論文の英文校閲等の支払いを行うとともに、遺伝子解析が未了の菌株について解析を行う。次年度繰越分については上記の経費に充てたい。
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Research Products
(7 results)