2015 Fiscal Year Research-status Report
痛みの感覚的・情動的側面に対するレゾルビン類脳内投与の効果と作用機序の解明
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15K08670
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 公道 京都大学, 薬学研究科(研究院), 名誉教授 (80025709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手 聡一郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (30389118)
人羅 菜津子 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (40762191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レゾルビン / 抑うつ / 抗うつ / mTOR / 炎症 / ω-3 系脂肪酸 / 多価不飽和脂肪酸 / LPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ω-3 系脂肪酸の代謝産物である抗炎症性物質レゾルビン類に着目し、痛みの感覚的・情動的側面に対するレゾルビン類脳内投与の効果を検討し、作用機序を明らかにすることを目的とする。具体的には、慢性疼痛に伴う脳内炎症の抑制、および、抑うつ・不安症状の改善に有用である可能性を検証する。本年度は尾懸垂試験を用いて、レゾルビンD1(RvD1)およびレゾルビンD2(RvD2)の側脳室内投与が、リポポリサッカライド(LPS、0.8 mg/kg、i.p.)誘発うつ様行動に与える影響を検討した。LPS投与の22時間後にRvD1およびRvD2を側脳室内に投与し、その2時間後に尾懸垂試験を行ったところ、RvD1およびRvD2はいずれもLPSによる無動時間延長を有意に抑制し、抗うつ作用を有することが示唆された。RvD1の抗うつ作用はLY294002、U0126、Rapamycinにより阻害されたことから、PI3K-mTOR経路及びMEK/ERK-mTOR経路を介することが示唆された。一方RvD2の抗うつ作用はU0126、Rapamycinにより阻害されたことから、MEK/ERK-mTOR経路を介することが示唆された。また、抗うつ作用の発現に関わる脳領域を探索するため、RvD1およびRvD2を内側前頭前皮質(mPFC)内に局所投与し、その2時間後に尾懸垂試験を行ったところ、LPSによる無動時間延長が有意に抑制された。このことから、RvD1、RvD2ともにmPFCを介して抗うつ作用を示すことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、LPS誘発抑うつモデルマウスを用いて、レゾルビンの抗うつ作用の分子メカニズムを明らかにし、さらに、レゾルビン脳内投与の抗うつ効果を有することを明らかにしており、研究の進捗状況はおおむね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、RvD1、RvD2の抗うつ作用に、それぞれ、RvD1 受容体(ALX/FPR2)、RvD2 受容体(GPR18)が関与するかどうかを検証する。さらに、慢性疼痛モデル動物を用いて、RvD1、RvD2が慢性疼痛による抑うつ様行動にも有効であるかを検討するとともに、その作用にLPS誘発うつ病モデルマウスの場合と同様、PI3K-mTOR経路及びMEK/ERK-mTOR経路が関与している可能性を検証する。
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Causes of Carryover |
研究分担者の井手が、年度途中で北海道大学から東京都総合医学研究所に所属変更したため、新たに研究分担者として北海道大学の人羅を加え、研究体制の変更を行ったため、痛みの研究を中心に若干の遅れが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究体制の変更は完了しており、次年度以降は新規体制で研究を進める状況にあり、昨年度検討が遅れていた痛みに関する研究において、慢性疼痛モデル動物作成費用として使用する予定である。
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