2017 Fiscal Year Research-status Report
神経イメージング手法を用いた痛覚と痒みの脳内認知機構
Project/Area Number |
15K08685
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
柿木 隆介 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 教授 (10145196)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 痛み / 痒み / 触覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の非侵襲的計測法を用いてヒトの脳内での痛覚と痒みの認知機構を明らかにすることが主要研究目的である。さらに関連深い触覚の認知機構の研究も行う。脳波、脳磁図、経頭蓋磁気刺激(TMS)といった生理学的検査法と、機能的MRI(fMRI), 近赤外線分光法(NIRS)などの脳血流検査法を組み合わせて総合的に研究を進めていく、世界的にも最先端の研究である。前年度までに、痛みとかゆみに関する新知見と新しい治療法に関する多くの論文を発表し、新聞やテレビ、ラジオなどの多くのメディアで紹介された。 平成29年度は、痛みとかゆみ認知に関するこれまでの研究成果を、総説論文として発表した。本分野において、このような詳細かつ最先端の総説論文はこれまでには無く、高く評価された。(望月秀紀、柿木隆介:かゆみと痛みの脳内認知機構 日本臨床、総説シリーズ「現代医学の焦点(406)」75(2), 334-343, 2017) また、一般の方向きの、かゆみに関する書籍を発行した(柿木隆介:世界にかゆみがなくなる日、ナツメ社、2017)。かゆみを主要研究テーマとする皮膚科医と基礎研究者との協力のもとにまとめた書物である。これまでに類書は無く、画期的な書物として非常に高く評価された。 また、国際学会で2回、国内学会で3回の招待講演を行った。特に海外での評価が高く、今年度はインドでの国際学会で2度の講演を行ったが、来年度は3回の特別講演の依頼を受けている。さらに、英文と邦文の総説論文の執筆依頼を受け、現在、投稿準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英文原著論文、日本語総説論文を多数発表した。研究成果が高く評価されて、多くの国内外での学会で特別講演を行った。 さらに、一般の方向きの「かゆみ」に関する書物を発行した。これまでに類書の無い書物として、書評などで高く評価された。
|
Strategy for Future Research Activity |
痛み、痒み、触覚に関して行っている現在の研究をさらに発展させていく。特に、臨床研究を推進していく。 また、痛みと痒みに関しては、心理的効果が大きいため 、「心の痛み」、「心の痒み」というテーマのもとに研究を展開していく。
|
Causes of Carryover |
(理由)新しく購入予定であった機器の発売が、2018年4月以後となったため、購入できなかった。参加予定であった国際学会が都合により参加できなくなった。雇用予定であった研究補助員が、家庭の事情により、雇用できなくなった。 (使用計画) 新しい機器を購入する。国内外の学会に積極的に参加する。研究補助員を雇用する。
|