2015 Fiscal Year Research-status Report
重金属曝露と歯周病の相乗効果が早産・低体重児出産に与える影響
Project/Area Number |
15K08747
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
池上 昭彦 自治医科大学, 医学部, 助教 (60748739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香山 不二雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (50177614)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 重金属 / 歯周病 / 早産 / 低体重児出産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、重金属曝露と歯周病の相乗効果が早産・低体重児出産に与える影響を研究室の調査結果と合わせて解析する。また、妊婦の重金属曝露の汚染源についてもあわせて調査する。 研究室の調査では、妊婦の曝露評価のために生体試料として血液(日本105、パキスタン97)などを、その汚染源として食品(日本102、パキスタン97)を回収し、その重金属濃度をICP-MS分析にて測定した。これにより、妊婦の重金属曝露と摂取した食品の重金属汚染についての解析が可能になった(解析中)。 本研究では、食品以外の重金属汚染源として、ハウスダスト(日本90、パキスタン62)/吸引性粉じん(パキスタン80)/土壌(パキスタン8)/化粧品(パキスタン30)/ガソリンおよびエンジンオイル(パキスタン7)を回収した。試料のうち、日本のハウスダストの重金属濃度を蛍光エックス線分析で測定し、寄与が高いと報告されている食品とハウスダストからの重金属曝露を合わせて解析するための結果を得た。パキスタンの試料については、食品とハウスダスト以外に吸引性粉じん/土壌/化粧品/ガソリンおよびエンジンオイルを追加し、Bioaccessible鉛としての濃度もあわせて測定した。また、生体試料と汚染源試料を用いて鉛同位体比分析を行い、妊婦の鉛曝露の汚染源を網羅的に解析するためのデータを得た。 歯周病調査は、パキスタンの対象妊婦のなかには症状があっても歯科へ通院しないものが含まれるという結果を踏まえ、日本とパキスタンで共通に使用可能な歯周病を判定するためのアンケート(通院/症状/歯茎からの出血の項目より判定)を作成した。現在のアンケート回収状況は、日本88件、パキスタン76件となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
日本における試料等の回収は、当初の予定通りに進展している。食品以外の汚染源試料であるハウスダストは分析まで終了しており、食品と合わせた解析を残すのみになっている。 パキスタンでは、2015年にテロなど地政学的リスクが生じ、試料・情報収集に危惧が生じたが、現時点では研究計画の通りに試料等の回収が進捗している。特に、食品以外の汚染調査では、研究計画で予定していたハウスダストと化粧品以外に、吸引性粉じん/土壌/ガソリンおよびエンジンオイルの追加調査も実施した。さらに、これらのBioaccessible鉛濃度測定および鉛同位体比分析も実施し、妊婦の鉛曝露の汚染源を網羅的に解析することが可能となり、研究計画以上の成果が期待される。 歯周病調査は、日本88件、パキスタン76件まで進み、こちらも順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度と同様に1、食品以外の汚染調査と2、歯周病調査を継続する。また、早産・低体重児出産者の生体試料から3、細菌検査を実施する。 1、食品以外の汚染調査:日本のハウスダストについては分析まで終了したが、パキスタンのハウスダスト等の試料には未分析分があるため、平成28年度中に全試料の分析を終了する。 2、歯周病調査:アンケートの未回収分があるため、平成29年度の統計解析までに可能な限りの回収を目指す。 3、細菌検査:妊娠37週未満での分娩を早産、体重2,500g未満の場合を低体重児出産とするため、これらの情報を日本とパキスタンから集計して整理する。対象者を選抜後、生体試料からの細菌DNAの抽出と16S-23S ribosomal RNAを標的としたPCRによるDNAの増幅・検出を行う。また、細菌DNAが検出された際には、DNAシーケンスを行い、細菌が口腔(歯周病)細菌かの同定を行う。 最終的には、早産・低体重児出産に対する重金属/歯周病/組合せ(重金属+歯周病)のそれぞれのオッズ比を求めてリスク評価を行い、重金属曝露と歯周病の相乗効果を評価する。
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Causes of Carryover |
1、パキスタンの研究協力者招聘が次年度に持ち越されたため。 2、本研究費による女性スタッフの調査協力開始が予定より遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1、パキスタンの研究協力者を招聘するための費用とする。 2、調査協力女性スタッフの人件費・謝金とする。
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[Journal Article] Exposure assessment of lead from food and airborne dusts and biomonitoring in pregnant mothers, their fetus and siblings in Karachi, Pakistan and Shimotsuke, Japan.2016
Author(s)
Kayama F, Fatmi Z, Ikegami A, Mizuno A, Ohtsu M, Mise N, Cui X, Ogawa M, Sakamoto T, Nakagi Y, Yoshida T, Sahito A, Naeem S, Ghias K, Zuberi H, Tariq K, Kobayashi Y, Nohara K.
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Journal Title
Rev Environ Health.
Volume: 31
Pages: 33-35
DOI
Open Access / Int'l Joint Research