2017 Fiscal Year Research-status Report
バングラデシュ南部デルタ地帯における塩害に関する調査
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15K08825
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
梅村 朋弘 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10401960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福原 輝幸 広島工業大学, 工学部, 教授 (10156804)
寺崎 寛章 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (40608113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Bangladesh / 太陽熱淡水化 / TrSS / 地下水 / 塩性化 / 尿中塩分 / ナトカリ比 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年7月1日にBangladeshのDhakaで発生した外国人をターゲットとしたテロが発生し、治安上の問題から現地活動に安全上の問題が生じた。そこで、現地情勢が落ち着くまで計画を遅らせ、平成29年度の乾季にBangladeshのKhulna管区Paikgaccha地域に位置するCharbanda村(地下水の塩性化が進んでいる地域)で改良型の太陽熱淡水化装置(TrSS)を導入した。喫煙習慣および重篤な既往がなく、血圧に関する薬を服用していない男女合わせて25名(平均年齢:40.3歳、男性:44.7、女性:33.8歳)がTrSSを約3週間利用した。途中2名の脱落があった。TrSS導入前後で、尿中ナトカリ比(尿中塩分指標、4回平均)を比較したところ、導入前は3.8、導入後は4.6となり(有意差なし)、TrSSの導入による効果はみられなかった。男女で分けても、男性の導入前は3.6、導入後4.3 女性の導入前は4.2で導入後5.0と介入の効果はなかった(有意差なし)。各世帯に導入したTrSSによって造水された水の分析結果では、塩分はほぼ完全に除去できていたため、TrSSの除塩性能自体に問題はなかったといえる。それゆえ、TrSSの効果を示すことができなかった原因として、サンプルサイズが小さく、参加者の属性にばらつきがあったこと(性、年齢、TrSS導入前の生活水源など)や、1人からサンプルを採取する回数が少なかったこと、飲料水以外(食べものなど)からの塩分摂取が多いことなどが考えられる。平成29年度の成果として、TrSSの効果を示すことはできなかったが、塩分摂取量が多いといわれる日本人のナトカリ比が約3.6(ニッポンデータ2010)であることを考えると、本研究対象地域住民の塩分摂取量もかなり多いことが分かった。平成30年度は飲料水以外からの塩分摂取ルートも考慮に入れたデザインにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年7月1日にBangladeshのDhakaで発生した外国人をターゲットとしたテロが発生したため、現地の安全が確保されるまで、Bangladeshでの活動を1年間控えたことによる。なお、Bangladeshでの活動を控えていた期間、同じベンガル地域のIndia側(Kolkata)において水質調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
男性参加者は、脱落したり、TrSSの使用方法にルーズなところがあるため、平成30年度乾季は対象を女性に統一し、サンプルサイズを大きくする。そして、TrSS導入群、食事指導群、TrSS導入&食事指導の両方をする群を設定するなどして、TrSSの効果を再度検証したいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年7月1日にBangladeshのDhakaで発生した外国人をターゲットとしたテロが発生し、治安上の問題から現地活動に安全上の問題が生じた。そこで、現地情勢が落ち着くまでBangladesh国内での活動を控えたため、進捗に遅れが生じるとともに、研究費が残ることとなった。平成30年度の乾季に、平成29年度と同じ地域で再度TrSSを導入して調査をする予定であり、その費用に充当する。
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Research Products
(1 results)