2016 Fiscal Year Research-status Report
救急領域におけるノンテクニカルスキル教育コース(NoTAM)についての研究
Project/Area Number |
15K08853
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
溝端 康光 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90420736)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 救急医療 / チーム医療 / ブリーフィング / リーダーシップ / ノンテクニカルスキル / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、救急領域におけるノンテクニカルスキルを習得するための目標、方策、評価からなる教育コース(NoTAM:Non-Technical Skills for Acute Medicine )を策定し、その効果を検証することを目的としたものである。 平成27年度に、コース受講前の医師および看護師のノンテクニカルスキルの評価を行うことと、NoTAM教育コースの策定を行った。コース受講前の評価として、平成28年1月から3月までの3か月間の大阪市立大学医学部附属病院救命救急センターに救急搬入された患者238名に対する、初期診療の画像を集積した。また、講義、ビデオ、グループディスカッション、シミュレーションからなるNoTAMコースを策定した。ビデオとしては外傷患者、CPA患者の初期診療におけるノンテクニカルスキルが学べる内容のものを作成した。 平成28年年度は策定したコースの開催と、受講後のノンテクニカルスキルの評価のためのビデオ撮影を実施した。具体的には、平成28年11月、12月に合計6回のNoTAMコースを開催し、それぞれ医師3~4名、看護師2名が受講し、合計31名の医師と看護師が受講した。また、緊急手術時のノンテクニカルスキルを習得させるための教材作りのために、神戸医療機器開発センター(MEDDEC)において外傷手術のビデオ撮影を実施した。 さらに、平成29年1月から3月にかけて搬入されてきた外傷、疾患、CPA患者に対する初期診療の内容をビデオ撮影した。 平成29年度はコース受講前後の医療スタッフの診療内容(ビデオ撮影したもの)を評価し、コース受講が、医療スタッフのノンテクニカルスキル、診療内容におよぼす効果について検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の予定として以下の2項目を設定していたが、いずれも実施することができた。 【1.大阪市立大学医学部附属病院救命救急センターの医師および看護師を対象とし、NoTAM受講前の救急診療・外傷初期診療におけるノンテクニカルスキルを評価する。】:平成28年1月から3月に救急搬送された患者238名に対する初期診療をビデオ撮影した。【2.CPACを受講した経験をもつ医師4名と看護師2名でプロジェクトチームを構成し、ノンテクニカルスキルを指導するための、CRMに基づく教育コース(NoTAM)を策定する。】:救命救急センターの医師3名と看護師3名でプロジェクトチームをつくり、教育コースの概略を検討した。 平成28年度は下記の内容を実施することとしており、予定通り実施できた。 【1.大阪市立大学医学部附属病院救命救急センターの医師および看護師を対象としてNoTAMを実施する。】:平成27年度に計画したNoTAM教育コースを作成し、平成28年11月と12月に合計6回、31名の受講生に対しコースを開催した。またコース受講後の変化を評価するため、平成29年1月から3月までの救急搬送された患者の初期診療をビデオ撮影した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年1月から3月にかけて撮影したビデオと、平成29年1月から3月にかけて撮影したビデオより、評価対象となる医師・看護師の診療内容におけるノンテクニカルスキルを評価し、NoTAMコースの受講前後における変化を検討する。 また、得られた成果を国内、国際学会において発表するとともに、論文化する。
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Causes of Carryover |
申請時、平成28年度の支出計画として、人件費50万円、その他(教材ビデオ撮影費)90万円を計上していた。人件費については、想定したよりも人的補助の必要度がすくなかったことから雇用の必要がなかった。またビデオ撮影については、当初は役者をつかったビデオ撮影をプロのカメラマン等に依頼する予定であったが、同等の内容をもつものが研究者自身の演技と撮影で実現することができたため、施設の使用料のみの支出ですんだ。このように、当初予定していた研究活動は行いながらも支出を抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、平成27年度および平成28年度に撮影したビデオで、初期診療の内容を評価する。評価するための撮影画像の抽出等に人的補助が必要であり、人件費として使用する計画である。また、研究成果をまとめることができる予定であり、その結果を国内、国際学会において発表することを計画しており、旅費、学会参加費に使用する予定である。
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