2017 Fiscal Year Annual Research Report
The non-technical skills training in the ER
Project/Area Number |
15K08853
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
溝端 康光 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90420736)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | チームワーク / 救急初期診療 / emergency room / ノンテクニカルスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
成果の具体的内容:平成27年度に策定したNoTAM(Non-Technical Skills for Acute Medicine)コースの効果検証のため、大阪市立大学医学部附属病院救命救急センターに搬送された重症患者(外傷、救急疾病、院外心停止)に対する初期診療内容を全症例ビデオ撮影した。 平成28年1-3月を受講前、平成29年1-3月を受講後とし救命救急センターの医師のうち、いずれの時期にも在席し、リーダーとしての役割を果たした3名を抽出、彼らが診療を主導する症例を受講前と受講後27例ずつ無作為に抽出した。これら54症例のビデオ映像を2名の評価者で評価し、ノンテクニカルスキルの変化や診療内容の質の変化について比較した。ノンテクニカルスキルの評価では、ブリーフィングの内容で向上が認められたが、リーダーシップやコミュニケーションの内容には有意な変化を認めなかった。また、診療の質の改善効果は確認できなかった。 得られた成果の意義と重要性:今回策定したNoTAMコースは講義と2回の模擬診療、グループディスカッションからなるもので、受講生参加型のコースである。このようなシミュレーションコースは手技等において教育的効果のあることが報告されている。また、チームワークにおけるノンテクニカルスキルについても有効とする報告もあるが、今回の救急初期診療における検討では、診療開始時のブリーフィングのみに有効性が確認できた。外傷、疾病、院外心停止に対する救急初期診療は一定の標準化されたものがあるが、重症症例においては、その診療課程で、状況評価、意思決定が重要となる。今回の検討結果では、単回のNoTAMコース受講では、実診療で確認しえる効果は得られなかった。このため、より効果的なノンテクニカルスキルの習得には、繰り返しの教育と実診療でのノンテクニカルスキルを意識した実践が必要であると考えられる。
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