2016 Fiscal Year Research-status Report
トリカブト種とその由来推定に関する分子生物学的および成分分析情報からのアプローチ
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15K08881
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中屋敷 徳 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (10146029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新津 ひさえ 岩手医科大学, 医学部, 助教 (80128933)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トリカブト属植物 / 遺伝情報 / ジテルペン系アルカロイド / 種分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリカブト類植物を多くの地域から採取し、あるいは提供を受け、対象としている6ローカス(ITS, matK, trnL-F, trnS-G, psbA-trnH, rpl20-rps12)の塩基配列を決定し、これまでに調べてきたデータと比較した。2倍体種において、ほぼすべての日本産種(北海道3種、東北2種、関東以南2種)の塩基配列を比較することができた。北海道3種が互いに類似しているとともに、東北2種と関連性を示すような共通塩基の存在が明らかとなった。東北2種にはそれぞれ2種類の葉緑体DNAハプロタイプが共通して存在したことから、2種を識別する毛の形態における突然変異の結果、あるいは雑種形成時の葉緑体捕獲の可能性が考えられ、現在も検討中である。一方、関東から四国まで広く分布しているサンヨウブシには高度の遺伝的類似性が存在した。尾瀬地域のジョウシュウトリカブトは他の2倍体種と異なる遺伝的背景が明らかとなった。4倍体種において、新たに複数の種を加えた比較でも、ITS配列において地域特徴的な塩基が存在することをさらに支持する結果が得られた 毒性分析については、おもに主要4成分(アコニチン、メサコニチン、ジェサコニチン、ヒパコニチン)の比率ならびに総濃度を調べている。自生地で採取した草本と、異なる土壌に移植・栽培した場合の毒性成分濃度および成分比率の比較を検討中である。各地で採取した中には無毒草本の存在や、予想以上に毒性成分濃度のばらつきが大きいことが明らかになった。さらに自生地周囲の土壌の一般的な分析を行い、毒性成分濃度や比率との関係について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリカブトを採取し、その遺伝情報を調べることに関しては全く問題なく遂行している。新たに判明したDNA塩基配列情報については遺伝子バンクに登録してきた。 毒性分析についてもその分析自体は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も多くの地域に自生している草本を採取してその遺伝情報を調べて比較する予定である。また、一部のトリカブトについてはその植物地理学的および系統分類学的アプローチも加える予定である。 自生草本および栽培草本についての毒性分析は従来通り継続する予定である。
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Causes of Carryover |
年度末の研究において必須の試薬等を購入する必要があった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度に購入する予定のあった試薬等なので、特に問題はない
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