2016 Fiscal Year Research-status Report
Notch1遺伝子を介した胃上皮細胞老化機構逸脱による新たな胃癌発癌機序の解明
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15K08946
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今谷 晃 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30333876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胃粘膜萎縮 / Notch1 / Helicobacter / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃粘膜においてはHelicobacter pylori(H.pylori)感染によって固有胃腺が減少し、胃癌の発生母地となる胃粘膜萎縮と腸上皮化生が進展することが知られているが、その分子生物学的機序は近年、本研究者の研究も含め明らかとなってきている。また、膜貫通型受容体であるNotch1遺伝子は、細胞分化および老化を制御し、さらに癌幹細胞の観点から胃発癌に関与していることを明らかにしている。このため、本研究ではNotch1遺伝子による老化制御機構逸脱による発癌機構の解明を目的としている。 本年度までに、作成したH.pylori長期感染マウス胃粘膜萎縮モデルでは、壁細胞数の有意な減少と、mRNAレベルでのプロトンポンプの発現の有意な低下を認め、胃粘膜萎縮(老化)が生じていることを明らかにしている。そして同様にNotch1遺伝子の発現が低下していることが判明したため、DNAメチル化に着目した。Notch1遺伝子にはpromoterからexon1までの領域2491bpのCpGアイランドが存在することを確認した後、マウス胃上皮培養細胞株GSM06を用いて脱メチル化剤5-Aza存在下で、Notch1遺伝子の発現を定量PCRで検討したところ、H.pyloriによるNotch1発現が回復し、さらにBisulfate Sequencingで検討したところ、CpGアイランドの一部がDNAメチル化を受けていることが判明した。このため、DNAのエピジェネティックな変化がNotch1レセプターの発現に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H.pylroi長期感染マウス胃粘膜組織や胃上皮培養細胞を用いた検討より、DNAメチル化によってNotch1遺伝子発現が抑制を受け、その結果、胃粘膜萎縮といった老化に関与していることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Notch1発現抑制が胃粘膜萎縮という老化減少に関与していることが示唆されたため、Notch1レセプター強制発現マウス胃上皮細胞株を用いて、細胞老化マーカーとなりうるp53、p21、p16、CDK2の制御状態をwestern blotやsiRNAを用いて把握する。
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Causes of Carryover |
現在までの研究成果を考慮・確認するためにH.pylroi長期感染マウス胃粘膜組織やマウス胃上皮細胞株における老化程度とDNAメチル化状態を次年度に行うことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞老化とDNAメチル化状態の解析のため、Laser capture microdissection法やFACS法を行う予定である。
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