2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K08986
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤井 裕美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60377124)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | B型肝炎 / 疾患関連遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27-28年度に引き続き、ゲノムワイド関連解析(GWAS)およびHLAアリルの関連解析を実施する為の検体収集を実施した。平成29年度はヘプタバックス(HBワクチンの1つ)接種の検体を収集した。複数の施設から送付された検体及び臨床情報をデータベースに登録した後、東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野のヒトSNPタイピングセンターへ送付した。 また平成29年度は、平成27-28年度に収集した約1,200検体についてゲノムワイドSNPタイピングを実施し、ワクチン低反応群、ワクチン中反応群、ワクチン高反応群の3群に分けたGWASを実施した。ワクチン低反応群と高反応群を比較した結果、HLA class III領域に存在するBTNL2遺伝子が有意な関連を示した。一方で、3群を比較すると、HLA class II領域に存在するDRB1-DQB1遺伝子とDPB1遺伝子がそれぞれワクチン応答性に関連することを明らかにした。 次に、ゲノムワイドSNPタイピングデータを用いてHLA imputationを実施し、HLAアリルおよびハプロタイプとHBワクチン効果の関連を詳細に解析した。HLAアリルおよびハプロタイプの頻度をHBワクチン低反応群とB型慢性肝炎患者群で比較した結果、HBワクチン応答性に特異的に関わるDRB1-DQB1ハプロタイプが存在することを見出した。さらにHBワクチン高反応群と健常対照群について同様の比較をした結果、HLA class II遺伝子(DR-DQ、DP)はワクチン高反応に有意な関連を示さなかった。ワクチン高反応群と低反応群のGWASでBTNL2遺伝子が検出されたことから、BTNL2遺伝子はワクチン高反応に関連すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度から継続して実施している検体収集については、Affymetrix社のAXIOM ASI1 Array(約60万種のSNPを搭載)を用いたゲノムワイドSNPタイピングを実施した約1,200検体に対して臨床情報の登録が完了し、GWASとHLA imputationを実施した結果について論文報告した。また、さらなる検体収集を現在進めており、現在約650検体程度について、ゲノムDNAおよび血清を収集できており、300検体についてはゲノムワイドSNPタイピングを実施している。また、今後海外との共同研究も予定しており、おおむね予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
HBワクチンの一つであるビームゲンに対する応答性に関するGWASを実施新規の遺伝要因を同定し、論文報告した。今後は日本で使用されているもう一つのHBワクチンであるヘプタバックスに対応する応答性に関するGWASを実施する為、収集された検体に対して引き続きゲノムワイドSNPタイピングを実施するとともに、検体収集も引き続き実施する。SNPタイピングは東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野内にあるヒトSNPタイピングセンター内で行う。海外の共同研究が進む場合は、GWASで見出された候補SNPの検証を実施する。 またHLA imputation (HLAアリルの推定)を実施し、HLAアリルの関連解析に用いる。HLA imputationにはゲノムワイドSNPタイピングデータを用いる。HIBAG Rパッケージを用いて日本人の健常者データを参照配列とした解析を実施する事で、HLA imputationの精度を95.1-99.5%にまで向上させる事が可能となっている。解析対象は、GWASに用いた検体と同じサンプルセットを予定している。ビームゲンおよびヘプタバックスのGWAS結果およびHLAアリルの関連解析の結果を比較し、共通性および異質性についても検討する。
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Causes of Carryover |
2017年8月の出産および出産後の子の養育に伴い、出産前後での研究に遅れが生じており、成果の蓄積がずれこんでいる。また、研究の解析に必要な検体の収集も引き続き続いている事から、平成30年度までの期間延長を希望したため。
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[Presentation] HLA-DRB1-DQB1 haplotypes and BTNL2 gene associate with response to a hepatitis B vaccine2017
Author(s)
Nao Nishida, Masaya Sugiyama, Hiromi Sawai, Sohji Nishina, Aiko Sakai, Keisuke Kakisaka, Keisuke Hino, Ryo Sumazaki, Yasuhiro Takikawa, Kazumoto Murata, Tatsuo Kanda, Osamu Yokosuka, Katsushi Tokunaga, and Masashi Mizokami
Organizer
American Association for the study of Liver Diseases The Liver Meeting 2017
Int'l Joint Research
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[Presentation] New susceptibility loci for cold medicine-related Stevens-Johnson syndrome with severe ocular complications identified by GWAS using an ethnicity-specific SNP array2017
Author(s)
Katsushi Tokunaga, Mayumi Ueta, Hiromi Sawai, Yusuke Kawai, Chie Sotozono, Kaname Kojima, Kyung-Chul Yoon, Mee Kum Kim, Kyoung Yul Seo, Choun-Ki Joo, Masao Nagasaki, Shigeru Kinoshita
Organizer
European Society of Human Genetics 2017
Int'l Joint Research