2018 Fiscal Year Annual Research Report
Epigenomic analysis of stem cell characteristics defining therapeutic resistance of liver cancer
Project/Area Number |
15K08987
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永江 玄太 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (10587348)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / エピジェネティクス / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肝癌の治療抵抗性に関与する幹細胞特性をエピゲノム制御の観点より明らかにすることである。肝癌組織内に見られる細胞の不均一性は、腫瘍細胞の周辺の外的環境のみならず腫瘍のもつ内在的肝細胞性にも起因すると考えられる。さらに臨床的には、このような幹細胞性が組織全体としての治療抵抗性にも深く関与している。幹細胞特性の観点から考えると、細胞の分子進化を伴う適応には、ゲノム変異よりむしろエピゲノム制御異常が重要な意味をもつと考えらえる。そこで、本研究では、幹細胞形質を継時的に観察できるシステムを用いて肝癌幹細胞様分画の細胞特性を分子生物学的に定義し、その動的な細胞挙動を明らかにするとともに、肝癌幹細胞様分画のエピゲノムプロファイルを明らかにすることで、その遺伝子発現様式を規定しているエピゲノム制御因子を探索することを目的とする。
初年度はFACSにより濃縮した幹細胞分画の遺伝子解析を行った。幹細胞様分画には上皮細胞分化の関連因子、接着因子が多数含まれるのに対して、非幹細胞様分画にはさまざまな転写因子や発生分化に関わる経路の遺伝子群、サイトカインやクロマチン修飾因子が含まれていた。すでに他癌種の癌幹細胞に高発現している特徴的な表面マーカー遺伝子は必ずしも発現しておらず、本細胞株での幹細胞様分画に特徴的な表面マーカーが存在することも明らかとなった。しかし、この時点での濃縮では依然多様な形質をもつ細胞集団の集合体であることが予想されため、本年度はシングルセルの単離・捕捉を目的としてフリューダイムC1システムによる一細胞解析を行った。マイクロ流路中で細胞溶解、cDNA合成を行い、1細胞ごとに異なるバーコード配列を内蔵したアダプターを付加してPCRを行い、大量並列型シーケンサーによるRNA-seq解析を行うことで、96細胞の遺伝子発現プロファイルを得ることができた。
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Research Products
(6 results)