2015 Fiscal Year Research-status Report
KATPチャネル・オープナーNicorandilによる新規心腎連関抑制療法の確立
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15K09072
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
西垣 和彦 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60198447)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 造影剤腎症モデル / 慢性腎臓病 / 冠動脈疾患 / 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
造影剤腎症モデルを日本白色家兎で作成することに成功した。(1)パイロット研究 2匹のウサギを使用。No1は3日間連続及び、No2は5日間連続で造影剤を静脈投与した。造影剤投与前、投与終了24時間後の血液および尿データを収集した。造影剤はオムニパークを使用。飲水は自由にできるようにした。血清Cr、Na排泄率の変化を確認。Ciggarroaの最大造影剤投与量=造影剤5(ml/kg)×体重(kg)/Scr(mg/dl)の2倍相当の造影剤(10ml/kg)を、経静脈的(内頸静脈)に投与した。(2)造影剤5日間投与モデル 正常ウサギに5日間連続で造影剤を投与した。造影剤投与前、終了72時間後の血液および尿データを収集した。造影剤はオムニパークを使用。飲水は自由にできるようにした。血清Cr、Na排泄率の変化を確認。1日あたり造影剤14(ml/kg)×体重(kg)の造影剤を、経静脈的(内頸静脈)に投与した。(3)造影剤高用量 3日間投与モデル 正常ウサギに3日間連続で造影剤を投与する。造影剤投与前、終了24時間後、48時間後の血液および尿データを収集した。造影剤はオムニパークを使用。飲水は自由にできるようにした。血清Cr、Na排泄率の変化を確認。※血清Crは小数点第2位まで測定した。1日あたり造影剤38(ml/kg)×体重(kg)の造影剤を、経静脈的(耳介静脈)に投与した。以上より、造影剤による日本白色ウサギの腎障害モデルを作成することに成功し、KATPチャネル・オープナーNicorandilによる新しい糖尿病性腎症の進展抑制に関する治療法を確立する基礎実験が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はこれまで、Nicorandilに関して以下のことを明らかにし、報告してきた。(1)ウサギの冠動脈30分閉塞(虚血)、48時間再灌流モデルにおいて、梗塞サイズは対照群41%に対しNicorandil前投与群で25%に縮小する(Ohno Y, Int J Cardiol)。(2)経皮的冠動脈形成術を受けた患者で3分のバルーン拡張を行った際、Nicorandil前投与にて有意に心電図変化が抑制される(Matsubara T, J Am Coll Cardiol)。 以上より、虚血心筋耐性、心保護作用のあるNicorandilは、同じく血管系臓器である腎臓に対しても、腎虚血耐性・腎保護作用があるのではないかという着想に至りNicorandil持続点滴前投与による臨床研究を行なった。 (3)腎機能低下のある待機的PCI患者に対して、生理食塩水単独群とニコランジル群との無作為比較試験を施行した。その結果、造影剤使用2日後および1ヶ月後の血漿Crの上昇率はNicorandil群で有意に低く、造影剤腎症の発症率も有意に抑制された (Nawa T,Nishigaki K, et al. Int J Cardiol, 2015)。またこの研究は、米国心臓学会で最優秀ポスター賞受賞の栄誉に輝いた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの学術的背景と我々のこれまでの知見から、本研究ではNicorandilによる腎虚血耐性・腎保護作用により糖尿病性腎症の進展抑制を明らかにすることで、実臨床における治療法を確立する [1]ウサギ高血糖モデルの開発とNicorandilの腎虚血耐性・腎保護作用:アロキサン投与によりウサギ高血糖モデルを開発し、Nicorandil投与により糖尿病に対する腎機能障害の変化を、内分泌学的、病理組織学的に比較する。 [2]糖尿病性腎症において、Nicorandilによる虚血耐性・腎保護作用が臨床的に有用か、500人を対象とした無作為比較試験を施行しその効果を明らかにする。
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