2016 Fiscal Year Research-status Report
肺微小環境PGE2産生を反映する尿中PGE-MUMのIPFにおける有用性の検討
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15K09194
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
原 弘道 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70398791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒屋 潤 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90468679)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 特発性肺線維症 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息78名、慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive pulmonary disease(COPD)33名、慢性線維化性間質性肺炎chronic fibrosing interstitial pneumonia (CFIP) 44名の合計155名の呼吸器疾患患者と、コントロールの健常者124名についてPGE-MUM測定を行った。CFIPの内訳は、IPF:Idiopathic pulmonary fibrosis 10名, NSIP:non specific interstitial pneumonia 12名, NSIP(CVD-IP:collagen vascular disease associated IP) 12名, CPFE:combined pulmonary fibrosis and emphysema 5名, Unclassifiable IP 5名であった。CFIP患者のPGE-MUMはコントロールに比べ有意に高値であった。また、CFIPを画像上の線維化の程度(Fibrosing Score:FS)により4群に分類したところ、PGE-MUMの値は、FS1-3群では高値を示したが、最も線維化が進行したFS4では逆に低値であった。FS1-3群に関しては、PGE-MUMとFSが相関し、線維化が進行するほどPGE-MUMは高値を示した。また、FS1-3群では、PGE-MUMの値は%VC、%DLCOと逆相関した。現在、実際に臨床で測定されている間質性肺炎のマーカーであるKL-6とPGE-MUMとは相関を示さなかった。 IPF肺組織の免疫組織染色では、化生上皮細胞で、COX-2発現が増加しており、慢性線維化性間質性肺炎におけるPGE-MUM高値は化生上皮細胞でのPGE2産生亢進によると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PGE-MUMの臨床検体は順調に集積しており、CFIP患者では、コントロールより有意に高値をとり、高度進展例を除くと、画像上の線維化の広がりと相関し、肺機能検査と逆相関するという重要な結果が得られている。今後、さらなる詳細な解析によりPGE-MUMの新たなバイオマーカーとしての役割について明らかにできると考えている。また、PGE-MUM高値のメカニズムについては、免疫組織染色の結果、化生上皮細胞でのPGE2産生亢進によると推測された。今後、さらに、In Vitroの検討でより詳細なメカニズムを明らかにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
CFIP患者におけるPGE-MUMの有用性の検討に関しては、さらに症例を集め、より詳細に検討する予定である。急性増悪の頻度、肺機能低下、予後との関連についても検討する。 また、In vitroの検討を行い、IPFでのPGE-MUM高値のメカニズム、病態との関連性を明らかにする。これまでの検討でPGE-MUM、PGE2の産生源と考えられる化生上皮細胞は細胞老化が亢進していることが明らかとなっている。IPFの病態に重要な役割を果たしているTGFβは上皮細胞に細胞老化を誘導することから、TGFβが細胞老化誘導だけでなく、PGE2産生に影響している可能性がある。そこで、まず、In vitro で気道上皮細胞にTGFβ刺激により細胞老化を誘導し、上皮細胞のPGE2産生をCOX-2発現や培養上清中のPGE2測定により検討する。さらに、老化上皮細胞によるPGE2産生亢進と線維化との関連性について線維芽細胞との共培養により検討する。
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[Journal Article] 2. Increased levels of prostaglandin E-major urinary metabolite (PGE-MUM) in chronic fibrosing interstitial pneumonia.2017
Author(s)
Horikiri T, Hara H, Saito N, Araya J, Takasaka N, Utsumi H, Yanagisawa H, Hashimoto M, Yoshii Y, Wakui H, Minagawa S, Ishikawa T, Shimizu K, Numata T, Arihiro S, Kaneko Y, Nakayama K, Matsuura T, Matsuura M, Fujiwara M, Okayasu I, Ito S, Kuwano K.
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Journal Title
Respir Med.
Volume: 122
Pages: 43-50
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant