2015 Fiscal Year Research-status Report
IgA腎症の病態におけるTLR/BAFF/APRILの役割の解明
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15K09274
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鈴木 仁 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10468572)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免疫複合体 / 糖鎖異常 / TLR / BAFF / APRIL |
Outline of Annual Research Achievements |
IgA腎症の病態には糖鎖異常IgA1と糖鎖異常IgA1免疫複合体が深く関与していると考えられ、扁桃炎などの感染を契機に増悪・進展する。本症は扁桃粘膜免疫の応答異常が関与しており、なかでもToll like receptors (TLRs)が本症の進展に深く関与すると考えられている。さらに、B cell activating factor (BAFF) やa proliferation-inducing ligand (APRIL) によりIgA 産生が亢進することが示唆されている。本研究では、TLRs の応答制御異常によるBAFF/APRIL活性化を介した糖鎖異常IgA1 免疫複合体形成機序を解明することを目的とした研究である。 IgA 腎症の発症と進展におけるTLR7とTLR9の応答制御異常について、IgA 腎症モデルであるddYマウスを用いて解析したところ、TLR7と比較し、TLR9の刺激が強く誘導されたほうが、腎炎の重症度が高いことが明らかとなった。TLR9活性化により血清IgA、IgA-IgG免疫複合体、糖鎖異常IgAの産生が増加し、腎組織への沈着が確認された。また、脾臓におけるBAFFの発現上昇も確認され、BAFFの発現量の亢進と糖鎖異常IgA産生およびIgA-IgG免疫複合体の形成が相関することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IgA腎症の発症と進展におけるTLR7とTLR9の応答制御異常について、IgA腎症モデルであるddY マウスを用いて解析した。TLR7およびTLR9のリガンドをマウスに連続投与し、腎炎の重症度を検証したところ、TLR7と比較し、TLR9の刺激が誘導されたほうが、腎炎の重症度が高いことが明らかとなった。さらに、TLR9活性化により血清IgA、IgA-IgG免疫複合体の産生量が増加し、糖鎖異常IgAの産生亢進が誘導された。一方で、IgA腎症を発症している個体に、TLR7およびTLR9のinhibitorを投与したところ、TLR7の抑制では、IgAの沈着は抑えられたものの、IgGの沈着は残存した。しかし、TLR9を抑制することで、糸球体IgA、IgG沈着のいずれも軽減させることができ、血清IgA、IgA-IgG免疫複合体、糖鎖異常IgAの産生を抑制することができた。 次に、TLR9の活性化と腎炎惹起性IgAの産生のメカニズムについて検証を行った。TLR9の活性化を誘導することで、脾臓におけるBAFFの発現上昇が確認された。BAFFの発現量の亢進と糖鎖異常IgA産生およびIgA-IgG免疫複合体の形成が相関することが確認された。APRILの発現に関しては、BAFFほど著明な増加がみられなかったが、レセプターであるTACIの発現亢進は認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の進捗は概ね順調であった。今後のテーマは、マウスからヒトへの展開が重要である。ヒトでの現象を解析するために、IgA 腎症患者および健常者の末梢血より樹立したIgA1 およびIgG産生細胞株におけるTLR7 とTLR9 の発現バランスを検証し、各TLR のリガンドによる刺激にて、Gd-IgA1 およびGd-IgA1 特異的抗体産生の亢進を検証する。また、BAFF・APRIL・TACIの発現の変化とGd-IgA1 およびGd-IgA1 特異的抗体産生との関連を解析する。さらには、TLR9・BAFF・APRIL に対し、中和抗体とsiRNA を用いて、Gd-IgA1およびGd-IgA1 特異的抗体産生の抑制効果を検証する。
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Causes of Carryover |
これまでの研究計画では概ね順調に進んでいるが、初年度であり、学会発表、論文化という段階までは到達できていない。また次年度以降の計画として、マウスからヒトへの展開を考えている。ヒトのセルラインを確立することや、抗体精製、siRNA等の研究にはこれまで以上に予算がかかると考えており、今年度は極力経費を抑えて研究に従事した結果と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度からは、マウスからヒトへの展開を考えている。ヒトのセルラインを確立することや、抗体精製、siRNA等の研究に予算計上を考えている。さらに、次年度からは本研究の成果を国内外の学会で発表していくことを前提に考えている。
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[Journal Article] Clinical decision support system for end-stage kidney disease risk estimation in IgA nephropathy patients.2016
Author(s)
Pesce F, Diciolla M, Binetti G, Naso D, Ostuni VC, Di Noia T, Vågane AM, Bjørneklett R, Suzuki H, Tomino Y, Di Sciascio E, Schena FP
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Journal Title
Nephrol Dial Transplant
Volume: 31
Pages: 80-86
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] N-Acetylgalactosaminide α2,6-sialyltransferase II is a candidate enzyme for sialylation of galactose-deficient IgA1, the key autoantigen in IgA nephropathy.2015
Author(s)
Stuchlova Horynova M, Vrablikova A, Stewart TJ, Takahashi K, Czernekova L, Yamada K, Suzuki H, Julian BA, Renfrow MB, Novak J, Raska M
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Journal Title
Nephrol Dial Transplant
Volume: 30
Pages: 234-238
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] New Insights into the Pathogenesis of IgA Nephropathy.2015
Author(s)
Novak J, Rizk D, Takahashi K, Zhang XW, Bian Q, Ueda H, Ueda Y, Reily C, Lai LY, Hao C, Novak L, Huang ZQ, Renfrow MB, Suzuki H, Julian BA.
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Journal Title
Kidney Dis
Volume: 1
Pages: 8-18
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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