2016 Fiscal Year Research-status Report
リン負荷がEPOに及ぼす影響(リン性貧血なる新概念の創出)
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15K09290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
濱野 高行 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (50403077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 功 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60456986)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リン性貧血 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、脾摘+片腎摘マウスに0.29% Pあるいは1.2% P (高リン食)を3週間負荷したところ、1.2% P餌負荷マウスにおいて貧血が認めたことを報告した。さらに1.2%Pに6%ランタンを加えた餌を投与し高リン食の影響を除外すると、貧血の改善傾向を確認できた。しかし、腎組織をCollagen I抗体で染色し線維化を評価したところ、1.2%P餌負荷マウスの腎臓で有意に線維化の増加を認め、ランタン投与で改善した。つまり、貧血の原因として、リン負荷による腎線維化の影響を除外できない結果であり、片腎摘マウスはP性貧血の評価には不適と判断した。 また昨年度、C57BL/6J マウスに0.29% Pあるいは1.2% Pを3週間負荷すると、貧血は認めなかったものの、1.2% P餌負荷マウスにおいて、骨髄の赤血球の分化障害が認めたことを報告した。しかし、nを増やして再度検討を行ったところ、C57BL/6J マウスに1.2% Pを負荷しても、赤血球の分化障害を確認できなかった。マウスでは骨髄以外に脾臓でエリスロポエチン非依存性の活発な造血が行われており、その影響を除外できないため、脾摘を行い貧血ならびに骨髄での赤血球分化を再評価した。しかし、脾摘を行っても、1.2%P餌負荷マウスに貧血ならびに赤血球の分化障害を認めなかった。 次にアデニン腎症で腎臓に高度の線維化を起こし、高リンによる線維化の影響を除外できると考えられるモデルで、リン性貧血の影響を評価した。アデニン腎症により貧血が生じることは確認できたが、高リンを負荷しても、貧血の増悪ならびに赤血球の分化障害を確認できなかった。高リンによるリン性貧血の影響よりも、アデニン腎症による線維化の影響が強いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
リン負荷によってEPOが低下するのは事実であるが、負荷が短期間のためか貧血を呈さない。また長期のリン負荷にすることで貧血になることを期待したが、長期負荷にすると腎間質の線維化が生じてしまい、腎性貧血を悪化させているだけの可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、1.2%P、1.6%P、2.0%P、2.4%Pとリン負荷量を増加させ、腎障害を来さず、かつ赤血球の分化障害を認めるリン濃度を確認し、ランタン投与で分化障害が改善することを確認していく予定である。
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