2015 Fiscal Year Research-status Report
日本人多発性硬化症の全ゲノム関連解析に基づくγδT細胞と自然免疫を標的とした治療
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15K09341
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松下 拓也 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00533001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 亮 九州大学, 大学病院, 講師 (10467946)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 自然免疫 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)は遺伝要因と環境要因の双方が発症に関係する難治性の神経疾患である。私たちは日本人コホートを用いた全ゲノム関連解析(GWAS)により複数の新規関連遺伝領域を見いだし、またcopy number variation(CNV)解析によって、T細胞受容体γ鎖・α鎖遺伝子にある欠失型CNVとMSとの関連を新たに見出した。GWASの結果は自然免疫、γδT細胞のMSへの関与を示唆している。 本年度はMSの臨床病型と関連する遺伝因子について解析を行い、MSの障害度進行とlipoprotein(a)遺伝子、leptin遺伝子のSNPとの関連を明らかにした。Lipoprotein(a)の血清中濃度は関連SNPのアリル数と関連がみられた。またMRIによる空間的散在性についての診断基準とヨーロッパ系人種におけるMSリスクバリアントの個人の集積度には関連が認められた。またIgGオリゴクローナルバンド陽性にはmajor histocompatible complex(MHC)領域と最も強い関連があることを明らかにした。 MS患者を対象として、抗TCR gamma delta抗体によって抽出されるγδT細胞分画において、V delta 1及びV delta2陽性細胞の割合をフローサイトメトリー法により測定を行っており、症例を蓄積している。現状では末梢血中ではV delta2 が低下している傾向が確認された。 健常者例については末梢血モノサイトからマクロファージへの分化を行い、再生サイトカインの発現量について確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MS臨床像との遺伝的関連の解析により、幾つかの着目すべき遺伝領域を同定できた。また末梢血中のγδT細胞分画の特徴的パターンについて一定の観察結果が得られた。培養細胞系についても実験を開始することができ、限定的ながらその結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢血マクロファージのサイトカイン産生パターン、末梢血γδT細胞の機能的分画と遺伝要因との関連性について、現状で疾患関連性が推定される領域について、それら表現型との関連を明らかにする。γδT細胞と関わりが深い、マイコバクテリウム属細菌の慢性感染について確認し、それらの感染との関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
フローサイトメトリーに用いる抗体などで、すでに購入済みのものが利用可能であったため、想定よりも物品費の使用が少額で研究の遂行が可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額については次年度の複数のサイトカイン発現量の測定、動物実験に利用する。
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