2016 Fiscal Year Research-status Report
骨髄微小環境の老化は多発性骨髄腫の治療標的になりうる:細胞老化と個体老化の接点
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15K09465
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
兼平 雅彦 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (90374941)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / 間葉系幹細胞 / 細胞老化 / リゾホスファチジン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度明らかにした、間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell;MSC)におけるリゾホスファチジン酸(Lysophosphatidic acid;LPA)シグナルと多発性骨髄腫の進展の関係について、さらに詳細に解析した。 昨年度は、LPA受容体サブタイプ3(LPA3)をノックダウンしたMSCが細胞老化に特徴的な表現型を呈し、マウス皮下腫瘍モデルにおいて多発性骨髄腫の進展を促進させることを明らかにした。本年度は新たに、LPA受容体サブタイプ1(LPA1)をノックダウンしたMSCが細胞老化へ抵抗性を示し、多発性骨髄腫の進展を抑制することを明らかにした。そして、同等の腫瘍抑制効果がLPA1アンタゴニストの全身投与によっても得られることを確認した。この結果は、LPA1とLPA3のシグナルのバランスが、MSCの細胞老化をそれぞれ正と負に調節していることに加え、多発性骨髄腫の進展も制御しているという新たな概念を提唱するものであり、これまで不明であった「多発性骨髄腫の発症率は加齢とともに増加する」という疑問に対し、明確な根拠を与えるものと思われた。 間葉系幹細胞におけるLPA1とLPA3の発現量は圧倒的にLPA1が高いこと、そして、多発性骨髄腫の患者の血清LPA濃度は健常人の約3倍であるという事実から、LPA1のシグナルが多発性骨髄腫の進展に重要であるという可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究により得られた知見は、これまでバラバラに認識されていた、「多発性骨髄腫の進展」、「間葉系幹細胞」、ならびに「加齢」という概念を「リゾホスファチジン酸シグナルによる細胞老化」という共通項により説明できるという点で、非常に独創的であると考えられる。そして、リゾホスファチジン酸シグナルを標的とした多発性骨髄腫の新たな創薬の可能性も示唆するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、リゾホスファチジン酸産生酵素であるオートタキシン(ATX)が、主に間葉系幹細胞から産生され、さらに興味深いことに、骨髄腫細胞からの刺激により産生が亢進されることを明らかにした。今後は、骨髄腫細胞に由来するATX産生促進因子の同定を試みる。この因子が同定されることで、これまで不明であった、腫瘍細胞が間葉系幹細胞を腫瘍関連間葉系幹細胞へコンバートするメカニズムの一端が明らかになると思われる。
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Causes of Carryover |
研究室の移動等で、研究活動を一時中断しなければならなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスを購入する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Mesenchymal stem cells attenuate ischemia-reperfusion injury after prolonged cold ischemia in a mouse model of lung transplantation: a preliminary study.2016
Author(s)
Watanabe T, Hoshikawa Y, Ishibashi N, Suzuki H, Notsuda H, Watanabe Y, Noda M, Kanehira M, Ohkouchi S, Kondo T, Okada Y.
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Journal Title
Surgery Today
Volume: 47
Pages: 425-431
DOI
Peer Reviewed