2015 Fiscal Year Research-status Report
患者由来腫瘍細胞を用いたスクリーニングによるPh陽性ALL治療薬の探索
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15K09472
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 文彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30402580)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬剤スクリーニング / PDX / reactive oxygen species / 酸化ストレス / ドラッグリポジショニング / 急性リンパ性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)のpatient derived xenograft (PDX)モデルを5症例作成した。PDXから得られた腫瘍細胞(PDX細胞)を体外で培養する方法を検討し、骨髄間質細胞S17との共培養で長期培養可能なことを発見し、この培養系を用いて、PDX細胞に殺細胞効果のやる薬剤を選別するハイスループットスクリーニングシステムを構築した(PDXスクリーニング)このシステムを用いて、東京大学創薬機構提供の、既知活性化合物とoff patent医薬品のライブラリ(3440コンパウンド)を用いてスクリーニングを行った。その結果細胞株では弱い殺細胞効果しか示さないが、PDX細胞に対し強い抗腫瘍効果を示す薬剤としてverteporfinを選別した。本剤は加齢性黄斑変性症に対する承認薬である。 Verteporfinに関してスクリーニングに用いたものも含めて複数のPDX細胞(2種類)および細胞株(3種類)に対する薬効の用量依存性を調べ、比較した。PDX細胞に対するGI50は228 nM、395 nMで、細胞株におけるGI50は3.93 μM、2.11 μM、5.68 μMと細胞株に比べてPDX細胞に対する強い殺細胞効果が確認された。 本剤の作用機序としてreactive oxygen species (ROS)産生による酸化ストレス増大によるアポトーシス誘導と予想し、本剤添加後のROSの酸性を検討したところ、本剤添加3時間後には著名なROSの産生を認めた。また本剤の殺細胞効果は生体内における代表的な還元剤である還元型グルタチオン(GSH)の添加により著明に抑制されたことから、ROS産生による酸化ストレスが本剤の殺細胞効果の機序であると考えられた。これらの成果を国内、国外の学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Ph陽性ALLに対するPDXスクリーニングを構築し、従来の抗がん剤にない作用機序を持つ抗がん剤を発見することが目的であるが、すでにスクリーニングシステムの構築、有力候補薬剤の選別に成功した。候補薬剤に従来抗がん剤とは異なる作用機序があることも解明され、後はマウスモデルでの薬効を確認するのみであり、その準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルで薬効を確認するため実験を行う。Ph陽性ALLに対する標準的な治療薬であるダサチニブとの間に、殺細胞効果の協調性がないかを検討していく。それらの内容を国内外の学会で発表していくとともに、論文にまとめていく。
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Causes of Carryover |
本年度末に国際学会参加を予定していたが、スケジュールの都合で参加を取りやめたため、使用予定の出張旅費が残った。また年度末に購入予定であった消耗品が年度内の納品が困難となったため今年度での購入を取りやめた。これらにより余った研究費を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の国際学会への参加の旅費、および昨年度購入予定であった消耗品の購入に当てる。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Recurrent DUX4 fusions in B cell acute lymphoblastic leukemia of adolescents and young adults2016
Author(s)
Takahiko Yasuda, Shinobu Tsuzuki, Masahito Kawazu, Fumihiko Hayakawa, Shinya Kojima, Toshihide Ueno, Naoto Imoto, Shinji Kohsaka, Akiko Kunita, Koichiro Doi, Toru Sakura, Toshiaki Yujiri, Eisei Kondo, Katsumichi Fujimaki, Yasunori Ueda, Yasutaka Aoyama, Shigeki Ohtake, Junko Takita, Eirin Sai, Masafumi Taniwaki, et al.
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Journal Title
Nature genetics
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Development and analysis of patient derived xenograft mouse models in intravascular large B-cell lymphoma. Leukemia.2016
Author(s)
Shimada K, Shimada S, Sugimoto K, Nakatochi M, Suguro M, Hirakawa A, Hocking TD, Takeuchi I, Tokunaga T, Takagi Y, Sakamoto A, Aoki T, Naoe T, Nakamura S, Hayakawa F, Seto M, Tomita A, Kiyoi H
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Journal Title
Leukemia
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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