2015 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチ滑膜の上皮間葉移行の分子機構の解析と新規治療法への応用
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15K09536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 真生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10332719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 靖彦 金沢大学, 医学系, 教授 (20313637)
杉本 直俊 金沢大学, 医学系, 准教授 (80272954)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DIP2A / SNAIL1 / DMAP結合ドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオインフォマティクス解析から予想された2つの蛋白分子DIP2AとSNAIL1の結合解析を行った。DIP2A(NCBI: NP_055966)は全長1571アミノ酸残基からなる大きな分子であるため、リコンビナント蛋白として作製するのは困難だった。DIP2AはそのDMAP結合ドメインを介してSNAIL1と結合すると考えられたため、DMAP結合ドメインを有するDIP2AのN末端99アミノ酸残基からなるN末GSTタグ付きリコンビナント蛋白を使用した(GST-DIP2A-N99, Abnova社)。一方SNAIL1はC末Mycタグ付きリコンビナント蛋白を使用した(SNAIL1-Myc, ORIGENE社)。これら2分子の混合液にグルタチオンセファロースビーズを添加しGSTタグ部分を結合させた後に洗浄、ビーズとの結合物を溶出し抗Myc抗体でイムノブロットを行った。2分子を結合させる反応濃度とビーズの洗浄強度の調整が必要だったが、SNAIL1-Mycの結合が確認された。現在はBIACORE 2000による定量的結合解析に移っている。GST-DIP2A-N99は抗GST抗体固定化センサーチップに結合させてからリガンドとし、SNAIL1-Mycをアナライトとする方法で解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上皮間葉移行(EMT)の観察できる滑膜細胞等を使用した培養細胞系で、DIP2AとSNAIL1の細胞内局在や、両者の細胞内での結合反応を分子間フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)で観察する実験はこれから取り掛かる予定である。平成27年度中に開始する計画であったが、研究代表者の異動(金沢医科大学から京都大学)にともなう実験体制の立て直しに時間がかかり遅延している。上記in vitroの実験は、分子間FRET実験の準備として、FRETベクターの選択や分子間FRET反応の条件最適化のための知見を得る目的もあり、時間をかけ再現性を確認しながら行っている。上記の研究実績状況から平成28年度中には取り掛かれる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
最も解明したい第1課題は、「EMTにおけるDIP2AとSNAIL1の相互作用の意義」である。これは、関節滑膜細胞に特定せず、より一般的で基礎的な細胞生物学的課題であるためである。そのため、確立されたプロトコルのあるA549ヒト肺癌細胞株を用いたEMT実験を行う。まずA546でFRP、DIP2A、SNAIL1の細胞内外局在、分子間反応を蛍光顕微鏡や分子間FRETで解析する。次に第2課題、本実験計画では主要課題であるが、関節滑膜細胞にパンヌス形成(EMT変化)を誘導し、FRP、DIP2A、SNAIL1の細胞内外局在、分子間反応を同様に解析し、関節リウマチにおける3分子の役割を解明する。関節滑膜細胞のEMT誘導方法としては低酸素培養に加えIL17AやTGFβ添加を予定しているが、条件設定に手間取る可能性もあるため、関節リウマチ患者からの滑膜組織の使用も検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度中の研究代表者の異動(金沢医科大学から京都大学)にともない、実施時間の不足および人員の不足をきたし、実験計画が遅延している。現在、実験体制を立て直しているところである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度中に実施できなかった計画のために使用する予定である。具体的には上皮間葉移行(EMT)の観察できる滑膜細胞等を使用した培養細胞系で、DIP2AとSNAIL1の細胞内局在や、両者の細胞内での結合反応を分子間フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)で観察する実験などである。
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