2016 Fiscal Year Research-status Report
宿主アポトソームと病原体のクロストークの解明による感染制御の新秩序の探索
Project/Area Number |
15K09568
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白井 睦訓 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20196596)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 病原体 / アポトーシス / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、病原体(クラミジア、肺炎球菌、セレウス菌などの微生物のうち感染宿主モデルが成立しやすい病原体を選択する) と宿主のアポトソーム分子との相互作用など、未だ解明されていない病原体-宿主の相互作用機構を実験的に明らかにすることが主な目的である。本年度は昨年度の成果を基盤として、広く生物学的情報を整理・統合することにより情報解析学的に未解明のアポトーシス制御機構の解析を進めた。また、小型魚類メダカおよびオルガノイド培養系をモデル系として用いて、Hippo-YAPシグナルなどのアポトーシス関連シグナルの観点から宿主と病原体の相互作用を解析し、感染制御の新秩序の探索を行うこととした。具体的には、メダカ野生型胚3サンプルとYAP変異体胚3サンプルから独立してtotal RNAの抽出を行い、最終的に合計6つのRNAサンプルを得た。これらのRNAサンプルを用いてRNA-seq解析を行った結果、YAP変異体胚において顕著な発現変動を示す複数の遺伝子を明らかにした。さらに、マウスの腸を用いた三次元オルガノイド培養系の樹立を行った。今回樹立に成功した三次元オルガノイドは、年単位の長期的な培養が可能であり、ゲノム編集技術を適用して遺伝子改変することが容易であることから、宿主と病原体の相互作用を解析する上でモデル実験系として中心的な役割を果たすことが期待される。今後はこれらの知見をもとに、感染発症とその増悪化に関与するシグナル伝達系に着目してさらなる詳細な解析を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の研究目的を達成するにあたり、従来のマウス培養細胞を用いた解析に加え、新たに本年度からモデル生物メダカを用いた解析システムをいち早く導入することができ、概ね本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
YAP下流標的遺伝子についてCRISPR-Cas9法を用いたKO・KIメダカの作成を進めることにより、アポトーシス関連シグナルの観点から宿主と病原体の相互作用を解析し、感染制御の新秩序を明らかにすることができるものと考えられる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本研究課題で使用した試薬類がこれまでに所属研究室が保管していた試薬でまかなうことができたためである。さらに、本研究課題の目的遂行のために用いる三次元培養技術などは日進月歩に進んでおり、当初の想定を上回る新たな培養技術の導入を検討する必要が生じたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
モデル生物メダカを用いた解析に加えて、新たにヒト三次元オルガノイド培養系を用いた解析技術を導入し、宿主と病原体の相互作用に関与するアポトーシス制御機構の一端を明らかにする予定である。
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[Journal Article] The mevalonate pathway regulates primitive streak formation via protein farnesylation.2016
Author(s)
Yoshimi Okamoto-Uchida, Ruoxing Yu, Norio Miyamura, Norie Arima, Mari Ishigami-Yuasa, Hiroyuki Kagechika, Suguru Yoshida, Takamitsu Hosoya, Makiko Nawa, Takeshi Kasama, Yoichi Asaoka, Reiner Wimmer Alois, Ulrich Elling, Josef M. Penninger, Sachiko Nishina, Noriyuki Azuma and Hiroshi Nishina.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 37697
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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