2016 Fiscal Year Research-status Report
黄色ブドウ球菌菌血症の疫学の変遷と最適な治療法の解明
Project/Area Number |
15K09577
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
笠原 敬 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50405403)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
松元 加奈 同志社女子大学, 薬学部, 講師 (20469084)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 黄色ブドウ球菌 / 菌血症 / MLST / 耐性菌 / MRSA |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究対象期間を延長して2008年1月から2016年12月まで当院に通院または入院中の18歳以上の患者で血液培養から黄色ブドウ球菌が分離された菌血症患者390名を対象とした。 分離された黄色ブドウ球菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が219人、56.2%でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)が171人、43.8%であった。また1か月以上の間隔をあけて2回目以上の黄色ブドウ球菌が血液培養から検出された症例は23例(5.9%)でMRSAが18人(78.3%)、MSSAが5人(21.7%)であった。 MSSAの薬剤感受性はペニシリンG耐性が50.6%、エリスロマイシン耐性が13.5%、レボフロキサシン耐性が8.3%であった。またMRSAの薬剤感受性ではバンコマイシンのMICが2以上である株が5.1%認められた。またPOT(PCR-based open reading frame typing)法による解析では市中型(106-)が57.6%、院内型(93-)が28.8%で、最も多かったPOT型は106-137-80(13.6%)であった。 患者背景ではMSSA菌血症の平均年齢が63歳、MRSA菌血症の平均年齢が66.6歳で両群に有意差はなかった。 経年的な傾向としては、黄色ブドウ球菌菌血症の発生頻度に有意な増加あるいは減少傾向は見られなかった。 現在分離された菌株のMLSTおよびPOT(PCR-based open reading frame typing)法による解析を行っている。また臨床的検討として患者の基礎疾患や死亡率、菌血症持続に関する因子、さらに使用した抗MRSA薬の薬物血中濃度と治療効果の関係などについて解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究に割り当てるエフォート率が当初予定よりも減少しており、患者の臨床的検討および分離された菌株のMLSTおよびPOT法による解析が予定よりも遅れている。しかし患者データベースの構築および菌株の保存は順調に進んでおり、今後検討が可能な状態である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究に割り当てるエフォート率を当初予定通りに調整し、研究分担者とも調整して予定している検討を行う。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた薬物血中濃度の測定および黄色ブドウ球菌の遺伝子検査を行わなかったために残余金が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に薬物血中濃度の測定および黄色ブドウ球菌の遺伝子検査を行い、使用する予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
[Presentation] 維持透析中に細菌性髄膜炎を合併したMSSA咽後膿瘍・化膿性脊椎炎の一例2016
Author(s)
内藤 結花, 詫間 隆博, 前田 真之, 吉川 雅之, 宇賀神 和久, 田中 道子, 松元 加奈, 森田 邦彦, 石野 敬子, 二木 芳人, 加藤 大貴, 相馬 裕太, 工藤 理史, 佐々木 忠徳
Organizer
第65回日本感染症学会東日本地方会学術集会・ 第63回日本化学療法学会東日本支部総会
Place of Presentation
新潟市
Year and Date
2016-10-26 – 2016-10-28
-
-