2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K09618
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
富永 康仁 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (20599245)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青天目 信 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30570072)
岩谷 祥子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任助教 (60724903)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 先天性GPIアンカー欠損症 / ピリドキシン / 活性化葉酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪大学病院にて先天性GPIアンカー欠損症(IGD)と新規に診断した症例は4例であった。更にピリドキシン治療を開始した症例は平成27年度は新規に6例であった。既に平成26年より治療開始している2例と合わせると全部で8例でピリドキシン治療を継続している。この患者数は国内では最多である。また治療開始後の評価として開始後3ヵ月、開始後1年が設定されているが、開始後3ヵ月の評価を2例で行い、開始後1年の評価を2例で行った。その結果、開始後3ヵ月時点で発作頻度が開始前の日単位から週単位にまで減少した症例が1例あった。当該例は頭部MRIでも過去に大脳の萎縮を認めていたが萎縮が軽減していた。脳波所見でもヒプスアリスミアが改善していた。もう1例の治療開始後3ヵ月評価では発作頻度も不変で頭部MRI、脳波所見でも不変であった。開始後1年での評価例2例では頭部MRI所見、脳波所見は不変であった。この2例は発作も月単位で安定している。本疾患は症状が進行性であるとされており、症状の安定も治療効果を一部示唆するものと推定するが今後の長期の経過やその他新規症例の蓄積にて評価したいと考えている。 先天性GPIアンカー欠損症の診断マーカーとしては、疾患の病態よりGPIアンカー型蛋白質である物質の血液での測定が侵襲が軽度で簡便に複数回行えるものとして挙げられる。診断の確定している上記症例で定期に血液検査を行い、その中でGPIアンカー型蛋白質により影響を受けると考えられたリポ蛋白分画、CEA、Hb分画などを測定しているが現時点で信頼性の高い診断マーカーの確立には至っていない。今後も症例数の蓄積を含め検討したいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規症例の診断は当初の目標症例数よりは少ないため進捗状況としてはやや遅れている。その理由として本疾患は希少疾患であることが一つの理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
しかし平成27年度途中からピリドキシン治療を開始した症例の治療開始後評価(3ヵ月後と1年後)が今後実施されるため新たな知見が得られる可能性もある。 一方で、現症例の中でピリドキシン治療の効果の低い症例に対し、活性化葉酸による新規治療を計画中である。 また、平成26年に本疾患のホームページが立ち上がり国内で周知されてきている。今後当院へのコンサルトや情報提供などより症例数を確実に増やしていき本疾患の治療法、診断マーカーの開発につなげていく。
|
Causes of Carryover |
活性化葉酸を使用する症例がなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は活性化葉酸を使用する予定症例がある。活性化葉酸(ロイコボリン:ファイザー製薬)は薬価が25mgで2229.8円と高額で使用予定量は体重1kgあたり3-5mgである。 仮に体重10kgの患者に投与すると30-50mg/日であり2675.76-4459.6円/日の費用となる。3ヵ月(=90日)投与とすると、240,818.4-401,364円/3ヵ月となりこれを科研費から負担する予定である。
|
Research Products
(3 results)